デスマーチは続きます。
これだけレンズが雑然と机の上に並ぶと圧巻ですが
よ~く見ると碌なレンズがありません。
たいしたことのない『十把一絡げ』のレンズの集まりです。
それで今回はこのレンズ
キヤノンのFD 35mm F2 S.S.C. です。
上記『十把一絡げ』の中では頭一つ、いや二つくらい抜きん出ていますね。
これも三年以上野晒しにしていたのでかなり汚くなっています。
実はこのレンズには悲しい物語があります…。
4~5年前に入手しまして絞り羽根に油染み(このレンズにはこの症状が意外と多い)があったので分解して絞り羽根をベンジンに漬け込んで清掃しました。
その際にレンズもそれなりに分解して綺麗にクリーニングして綺麗に仕上げた後にebayで売れてアメリカに送ったんです。
そしたらなんかクレームをつけられたので返品してもらったんです。(クレーム理由が記憶にないという事は最初から相手にせず無条件で返品を受けたからでしょう)
それで私の手元に戻ってきたらレンズフィルター&フード取付リングの縁の一部が
ベッコリと凹んでいたんです。
USPS(アメリカ郵便局)の無責任クオリティです。
その後凹みを自分でなんとか修正してフィルターもなんとか取り付けられるようになったのですが、やはり...見た目が悪くてそのまま放置してしまったんですね。
その後今年の3月に再び清掃を行っているんです。その時の様子の詳細は
銘板が外れない!もはや破壊しないと分解できないか⁉ CANON FD 35mm F2 S.S.C | recognizerのブログ
を見ていただければ理解していただけると思います。
あの時はあくまで『部品取り用』に再利用できればとの思いで作業をしていました。
画像のレンズフィルターを取り付けるためのネジ山が白くなっている部分が大きく凹んだ部分です。
ネジ山が歪になってしまったため銘板リングがなかなか外せませんでした。
その影響で銘板リングの一部が欠けてしまいました。
そのようなかなり特殊な歴史を持った個体(レンズ)ですから銘板の問題を除けば前玉と後玉をチョチョッと清掃するだけで…。
こんな風にレンズはとても綺麗なんです。(後玉の中にはいくつか小さなホコリが混入しています)
とう事で外観は並級以下ですが、レンズは極上品級なんです。
ですから撮影する分には何ら問題ありません。
次のレンズに進みます。
NEW FD 50mm F1.8 です。
シリアル番号:41095です。
同じ別のレンズを作業中なのですが、むこうはトラブルが発生てしまい数日間放置して乾燥させる必要があるためこちらを先行します。
混乱を招きやすいですがどうかご了承ください。
実は... 作業に費やす時間が異常にかかってしまいまして進捗が大幅に遅れています。
なのでもうなりふり構ってられず、目についたレンズから手あたり次第手をいれていきます。
見た目はそこそこ綺麗ですが前玉奥に小さめのカビがありますね。
後玉には豪快にカビが生えていますね!
このレンズはカビ易いのでしょうか?
分解手順は同じなので割愛しますが
内側にカビがあります。
クリーナーでカビを除去して
丁寧に拭き上げたら前玉は完了です。
後玉のカビを除去するためにはまず後玉をレンズ本体から取り外す必要があります。
しかし現状では取り外せません。
先にレンズマウントを外さなければなりません。
そのために外周部にあるステンレスのカバーを外します。
カバーの位置や向きを記録しておいてください。
側面の三カ所にネジがありますのでこれを緩めて外します。
注意勧告!このネジを侮らないでください。かなり硬いです。そしてプラスの穴をなめやすいです。このネジの黒色塗装を剥がしてしまうと元に戻した時にかなり見た目・美観が悪くなってしまいます。
マウントを外す前に各部の位置関係やスプリンぐのテンションのかかり方等を記録しておいてください。また私の場合は絞りリングを開放=F1.8にしています。
私はここを組み立てる時に毎回各部の位置関係やスプリングのテンション具合が判らなくなり何回もやり直します。
最悪の場合はもう一個同じレンズを持ってきて確認しながら組立てます。
とても面倒くさいことになるので分解前に確認しておきましょう。
スプリングのテンションが無くなるように右回転させたら爪がこの位置に来ました。
マウントが外れました。
後玉も前玉同様の樹脂カバータイプかぁぃ!!!
しかもご丁寧に接着剤まで使ってくれちゃって!
これ割っちゃったらどうすんだよ?
ナ、ナントか樹脂カバーを外すことが出来ました。
レンズの確認は後回しにします。
取り外したカバーです。
案の定ヒ割れてしまいました⤵⤵⤵
ただ、接着剤で固定されていたので再び接着剤で固定すればこのヒビ割れのダメージはカバーできるはずです。
後玉の構成品です。
左から上に重なっていきます。
一番下のレンズにカビがたくさん生えていました。
銅色の部分が絞り羽根を開閉するカム山になります。
古いグリスを拭き取って
カムの山部にモリブデングリスを薄めに塗ります。
ヒビが入ってしまった樹脂カバーの表面を耐水ペーパー#320で荒らしてエポキシ接着剤の喰いつきが良くなるようにしておきます。
また、ヒビ割れが開いてしまわないように裏面に養生テープを貼っておきます。
5分間硬化型のエポキシ接着剤を塗ります。
こうすれば少しは補強になるかもしれません。
しかし…。
エポキシ接着剤が完全硬化するまでこれ以上作業を進めることができません!…。
時間を浪費してばかりで本当に困りました。
仕方がないので他の仕事をしましょう。
そうだ!
完成したレンズを出品してしまいましょうか?
結局、仕上げた各レンズに番号を付けてExcelでデータ管理をしてその番号に倣って各レンズの作業画像を纏めるので精一杯でした。
クリーニング作業をしながら
その作業内容を撮影してグロ部の記事にして
オークション出品に備えてデータ&画像を整理&管理する
やるべき事が沢山あり過ぎです。
冗談のつもりだったのですが、コリャ本当に『デスマーチ』になってしまいました!
さて一晩経過して樹脂カバーのエポキシ接着剤は完全に硬化したのですが
ちょっと触って力を加えただけで一部剝がれかかってます。
画像はわざと露出オーバー気味に撮影しましたが
エポキシ接着剤が一部白くなっている所が空気が入っている=剥がれと推測されます。
まぁそれでも現段階では充分機能しています。
丁寧にクリーニングしてから拭き上げて一つ目のレンズを挿入します。
二つ目のレンズを挿入します。
レンズ手前の面は作業完了後に改めてクリーニングします。
樹脂カバーを上からハメてレンズを固定します。
そしえ樹脂カバーをボンドGクリアーで固定します。
個人的には樹脂カバーにヒビが入っているのでもっと強力なエポキシ接着剤で樹脂カバーを固定したいのですが、それをやってしまうと将来再び分解して清掃しなければならなくなった時に樹脂カバーを外そうとして誤って破壊してしまう確率が増大してしまいます。
従って(樹脂に対して)接着力が比較的弱いボンドGクリアーを使用しました。
ボンドGクリアーの乾燥を待つ間に横浜にいる友人のお手伝いに行ってきます。
ここで過去の私の失敗談をひとつ…。
レンジファインダーカメラのファインダーを清掃した時の事です。
接着剤が劣化してしまってファインダーのレンズが脱落してしまったんです。
まぁ、よくある事なんですけどね。
それで将来に分解が可能なようにと接着力の比較的弱いボンドG103を使って脱落したレンズを元の位置に固定したんです。
その後作業を焦って直ぐに軍艦を載せてしまいました。接着剤がまだ乾いていないのに...です。
翌日にそのカメラを見た私は仰天して我が眼を疑ってしまいました。
な、なんと昨日接着して固定したファインダーのレンズが白濁してしまっていたのです!まるで白内障のように⤵⤵⤵
後に判明&理解したのですがどうやらコストダウンのために樹脂(プラスチック)製のレンズが使われていたそうです。
白濁した原因(と思われる)は以下の通りです。
ボンドG103には有機溶剤がナント70%も含まれていたのです。
そのボンドG103が乾燥する前に軍艦を載せて蓋をしてしまったために軍艦内は換気不能の極小の密室空間のようになってしまったのでしょう。
その密室空間の中でも大量の有機溶剤が蒸発して気化したっ有機溶剤がプラスチック製のレンズに悪影響を及ぼしたのでしょう。
全ては後の祭りです…。
以上のような苦い経験から、接着作業をしたら完全に乾燥するまでドントタッチ!(Donot tuch!)として急がば回ることにしたのです。
お手伝いから帰ってきました。
友人よりヤフオクへの代理出品の依頼を受けてきました。
まる半日近く放置しましたので接着剤は乾燥していました。
さて、ここから組上げの最終段階となります。
マウント部をレンズ本体に組付けます。
私はこの作業が苦手でレンズの爪とマウントの爪の位置を合わせることができずに毎回何度も何度もやり直してしまいます。
まずレンズ本体側にある水色矢印の銀色のボタンを真上12時の位置に置きます。
以後これを基準点としてこの場端の位置は絶対動かさないようにします。
そして黄色矢印と赤色矢印の爪がこの位置になるようにセットしてください。
次にマウント側の黄色矢印と赤色矢印の爪をこの位置にセットしてレンズ本体側の爪と連携するようにセットしながらレンズにはめ込みます。
しかしこの状態ではまだマウントにはキチッと嵌りません。
マウントを若干上から押し付けるようにしながら左にゆっくりと回転させると黄色矢印と赤色矢印の爪達ががこの位置へ動いて行きながら途中で『カチッ』と音が品がしてマウントがレンズにキッチリと嵌ります。
正しく嵌っていればマウントはこの位置に止まります。
この止まった位置が正しいかどうかの確認にはレンズ本体側とマウントにそれぞれある水色矢印の赤マークが一直線に並んでいればO.K.です。
ステンレス板にある小さな突起とマウントにあるボッチの位置を合わせてステンレス板をマウントに嵌め込みます。
お互いの位置が正しければ画像のようにレンズ本体の穴とステンレス板のネジ穴が一致します。
この3ケ所の穴にネジを締め込みます。
ちょっと気になるため緩み止めのロックタイト243中強度タイプを使用します。
間違っても高強度タイプの263使わないでくださいね。
ネジが緩まなくなってネジ山をなめてしまうかもしれませんから。
このネジですね。
前玉を組付けます。
銘板を取付けます。
この画像で見えるレンズはとても綺麗なのですが…。
青色LEDの灯火で透かして見ると
画像では判りずらいのですが前後玉共に全面に薄っすらとクモリがあるんです⤵⤵⤵
レンズ本体の外観はとても綺麗なのでこれで完了なのですが。。。
あの薄曇りが残る状態で(おそらく除去不可能)
『清掃済』との名目で販売してよろしい物なのでしょうか。。。
やはりここは事実をキチンと正しく記載して1円スタートで出品して
最終判断は落札者様に委ねるべきでしょう。
以上の旨を忘れないようにExcelのデータベースの備考に記載しておきましょう。











































