キャノンの一眼レフカメラ用交換レンズ

FD 35㎜ F2 S.S.C.です。

 

 

レンズ単体の分解・清掃は一年ぶりくらいです。

長期間レンズを分解していないで再開すると嫌な事が。。。

 

 

ヤッパリとんでもないハプニングが起きてしまいました!それも強烈な奴が。

銘板が固くて緩まないんです!

これらのゴムオープナーを使って全力で緩めようとしても少しだけ動くだけで「カチッ!」という音がして固まってしまうのです。

そんなことを何度も繰り返して「カチッ!」を連発していたらとうとう全く動かなくなってしまいました。

どうやら銘板は樹脂製のため強い下方向への押し付け力をかけると変形してしまい、せっかくネジが緩んだのに「カチッ!」と音を出してネジ山を飛び越して沈んでしまい何度も繰り返す内に銘板がネジ山に対して斜めになってしまい固着してしまったようです。

 

 

何度も何度もゴムオープナーを押し付けて回転させたため摩擦で刻印の白文字の塗料が剥がれてきてしまいました。

どうやら、もうどうにもならないようです。

最悪の場合銘板にピンバイスで穴を孔(開)けてカニ目スパナで緩めるしかありません。

ただ、それをやってしまうと商品として販売することができなくなりま。

仕方ないのでとりあえずCRC 3-36防錆剤を吹き付けて一晩置いてみることにしました。

だけど樹脂相手に防錆剤なんか使って効果があるなんて思えないし…。

もはや万事休すなのですが…。

 

 

じつは予備ではないのですが銘板がもう一枚あるにはあるのです。

これは数年前に販売した同じレンズがこれーむが来て返品されたのですが、

返送の時に衝撃を受けてフィルター取付部を曲げられて売り物にならないレンズの銘板なんです。

ちょっと欠けている部分がありますが。

 

 

以前にある程度は変形を修正してなんとかフィルターが嵌る位までにはしたのですが、今回銘板を外してからさらに修正したらここまで修正出来て復帰できました。

 

 

ただネジ山が潰れてしまったためフィルターをねじ込むのがとてもずかしくなってしまいます。

でも使用する事はできるので訳あり品として販売できそうなので銘板はキープしておきたいのですが…。

 

 

もはや銘板の破壊ありきの思いで破壊方法を考えながら銘板の油分を拭き取ってからゴムオープナーで緩めてみたら「スルっ」と回せてしまい、ほぼ無抵抗で緩んでくれて取り外すことができました。

奇蹟です!

イヤァ~よかったぁ!救われたわぁ!

でも驚くべきはCRC 3-36防錆剤の浸透力ですね。

昨夜は完全にあきらめていたのに…。

当に救世主です。

 

 

分解作業に入る前に文字が消えかかった銘板をレストアします。

墨入れです。

 

 

CRC 3-36を大量に吹き付けたので

ガイアカラー専用シンナー(プラモデル用シンナー)で油分を拭き取り

更にベンジン(試薬特級)で脱脂します。

 

 

塗料はガイアカラーの艶消しホワイトです。

乾燥を遅らせるリターダーを添加しています。

 

 

製図用の烏口です。コレで文字の溝に塗料を流し込みます。

 

 

最初は溝から溢れたは塗料は放置しておいて乾燥後に処理するつもりでしたが、

途中から乾く前に大まかに指で拭き取るようにしました。

この方が最終処理が簡単にできそうです。

 

 

乾燥したら綿棒にガイアシンナーを浸みこませてはみ出した塗料を丁寧に拭き取ったら完成です。

とても綺麗に仕上がりました。

 

 

銘板が緩まずパニクってしまいこのレンズの症状の説明が遅れてしまいました。

この個体は各レンズ全てカビもクモリも汚れもありません。

全体的に非常に程度の良い個体です。

しかし、絞り羽根に油染みがあるのでその油分を除去するため分解します。

このレンズは非常に大きな確率で絞り羽根に油染みが発生します。

 

キャノンのレンズFDシリーズとNEW FDシリーズは、レンズ単体の状態では絞り羽根は動きません。

 

 

そこでこの部品を使います。

コレはカメラ本体に付いているレンズマウントです。

修理不能でジャンクとなったキャノン Ftbから取り外しました。

 

 

このマウントをレンズに装着するとレンズをカメラ本体に取り付けた状態と同じになります。

そして矢印の爪を右の方向へ動かします。

 

 

この状態にすると絞り羽根が動くようになるので視認できます。

 

 

この様に絞り羽根の先端に油染みあります。

この油染みを除去します。

 

 

前玉側からアクセスしていきます。

フィルター取付リングを外します。

6本あるネジの大きい方3本を外します。

緩み止めのための接着剤が使われているので固い場合はラッカーシンナーを少し垂らすと緩め易くなります。

あぁ~、久しぶりのプラスネジです。

作業がはかどるはかどること。

 

フィルター取付リングを外すと新たに三本のネジが出てきますので緩めると

フォーカスリングがはずれます。

 

 

前玉を外します。

三本のネジがある部分がまえだまなのですがコノネジは緩めません。

 

 

代わりに側面の三本のネジをヘリコイドを回して穴の位置を合わせてから緩めます。

 

 

ネジにはスペーサーのような樹脂でくるまれた二個のワッシャーが入っています。

樹脂部は長年にわたりグリスに浸かっていたので溶けてます。

 

 

前玉を外すといかにも「カニ目スパナを差し込んで回してくれ」と言っているような穴がるのでカニ目スパナで緩めます。

 

 

外れました。レンズを押さえるリングのようです。

レンズを取り外す必要は無いのですがコレで更に奥にあるカニ目スパナの穴にアクセスがしやすくなります。

 

 

このようにして中玉?を緩めます。

 

 

中玉?を抜き取ります。

先に外したリングは元に戻しておきます。

 

 

ようやく絞り羽根のユニットが見えてきました。

画像に見える三本のネジを緩めます。

 

 

絞り羽根ユニットを取り外しました。

油染みが確認できます。

今回のターゲットはコレですのでレンズはもうこれ以上の分解はしません。

 

 

ユニットごとベンジンに漬け込んで油染みをの削除と洗浄を行います。

 

 

 

洗浄が終わった絞り羽根ユニットです。

 

 

絞り羽根ユニットを本体に取り付けた後に中玉?も取り付けます。

間違ってレンズを触ってしまったので清掃します。

 

 

ヘリコイドの穴の位置を合わせてから前玉を挿入します。

 

 

三本のネジで前玉を固定させるのですが、このネジをセットして締め込むのは至難の技でした。

 

 

前玉が組み上がりました。

銘板を外す時に大量の防錆剤がレンズにかかってしまったのでここで一回清掃します。

 

 

フィルター取付リングを三本のネジで取り付けます。

 

 

最後に銘板を取り付けて完成です。

 

 

初っ端からとんでもないトラブルが発生してしまいプチパニック状態となってしまいましたが無事に絞り羽根の清掃を終えくみあがりました。

ただ、銘板外しの際に大量の防錆剤を使用したために一番手前のレンズに大量の防錆剤がかかってしまいその清掃にエライ苦労してしまいました。

これでもう一個のレンズも訳ありの部品取り用として販売できそうなので助かります。

 

昨日まで長期間に亘ってヤシカを弄ってきたので久しぶりのキャノン品質しかもプラスネジだったので非常に作業がはかどるしメンタルにも優しいです。

やっぱりキャノンはキャノンですね。