『亜実#3』
詩・朗読…松田拓実
かんかん照りの青空なら雲の形に
容易く君への気持ちをみつけられるが
梅雨の時期の湿気った今頃は立ち止まり
窓の外を眺めてももどかしい想いをするばかり
しかしだからこそ僕は気に入っている
優柔不断な心の機微を少しだけ好んでいる
聴覚でしか受け取れないビンタに似た痛みや
眼でしか聴こえてこなかったであろう無音の
作り出す形はきっと本日の夜のような
じめじめした肌触りがあるのだろうけど何故
こんな寝苦しい敷布団をわざわざこさえるのだ
そんな曲がりくねった沈黙の隙間に
君から僕へのメッセージがしれっとあって
エアコンの冷房の風の音に包まれて二人が
目が覚めた朝起き抜けに夢の内容を語る
そしてその解釈を辿々しく言葉にした時に
君から僕へのメッセージにきちっと成って
手のひらで温度を確かめ香りを感知する
のに長けた細胞達が文字に転変するのである
そして君の名を冠した詩になる
寝惚けながらお互い詳述した夢の内容も
さてどんな夢をみていたんだっけと
夕方には忘れてしまうかの如く
曇天模様に形を探すのは困難だから生涯もって
からっとした君の性格に憧れるかもしれんと
ほんのり予感しつつおでこの汗を拭うのだ