『亜実#3』 | 松田拓実のblog ~詩を中心に~

松田拓実のblog ~詩を中心に~

ブログの説明を入力します。

https://youtu.be/WSPLE8acZ6Q?si=8TPsPN2oHFUQOxLC

『亜実#3』


詩・朗読…松田拓実


かんかん照りの青空なら雲の形に

容易く君への気持ちをみつけられるが

梅雨の時期の湿気った今頃は立ち止まり

窓の外を眺めてももどかしい想いをするばかり

しかしだからこそ僕は気に入っている

優柔不断な心の機微を少しだけ好んでいる

聴覚でしか受け取れないビンタに似た痛みや

眼でしか聴こえてこなかったであろう無音の

作り出す形はきっと本日の夜のような

じめじめした肌触りがあるのだろうけど何故

こんな寝苦しい敷布団をわざわざこさえるのだ

そんな曲がりくねった沈黙の隙間に

君から僕へのメッセージがしれっとあって

エアコンの冷房の風の音に包まれて二人が

目が覚めた朝起き抜けに夢の内容を語る

そしてその解釈を辿々しく言葉にした時に

君から僕へのメッセージにきちっと成って

手のひらで温度を確かめ香りを感知する

のに長けた細胞達が文字に転変するのである

そして君の名を冠した詩になる

寝惚けながらお互い詳述した夢の内容も

さてどんな夢をみていたんだっけと

夕方には忘れてしまうかの如く

曇天模様に形を探すのは困難だから生涯もって

からっとした君の性格に憧れるかもしれんと

ほんのり予感しつつおでこの汗を拭うのだ