【憑依体験記】 1章.妹の産後鬱
これはありふれた家族S家の日常に突然起こった憑依体験の記録 です。
・父 ・母:宮崎在住
・長女:姉
鹿児島在住。旦那、犬と暮ら す。虚弱体質。悪意少な目でS家 の中で最も優しい。
・次女:私(霊障体験者)
埼玉在住。殻に閉じ籠ったオタ ク体質。物を作るのが好き。
・三女:妹A(憑依体験者)
沖縄在住。旦那、長女と暮ら す。自称”the女子”、みんなが持っ ているものが欲しく難しい事を考えるのは大嫌い、開き直ってでも 巧みな話術で理不尽な内容を相手 に飲ませて我を通す。寂しがり 屋。たまに人を喜ばせる様なサプ ライズで全てを帳消しに…超頑固 者のツンデレ女。
・四女:妹B
東京在住。旦那、一男三女の子 供達と暮らす。末っ子として周りの人が何でもやってくれる環境で育った影響か?周囲の人を使うの が上手。
1章.妹の産後鬱
3月のある日の事だった。妹のBから「 Aの様子がおかしい。電話にも出ない。」と連絡が入った。
Aは前年の7月に出産して育児休暇中。出産後、育児についてなど Aは毎日Bに電話をしていた。始まりは、年末に赤ちゃんを連れて 実家に帰った頃だとBは言う。実家では無表情、理由も無いのに泣いて居たり、「ここに居るとおかしくなる。」など奇妙な事を言って、予定より早く帰った様だ。
ここ1ヶ月はBからの電話にも出たり出なかったりで、「何も感じない。生きている実感がな い。」「赤ちゃんを可愛いと感じない。」「自分が自分じゃ なくなくなって行くのが怖い。」など淡々と喋ったり、興奮気味に 喋ったり、『普通』の時もあったりとムラがある様だった。
Aは姉妹のLINEに毎日数十件もの写真やコメントを上げるまめな人。そう言えば最近全くコメントが無かった。忙しくしているのだろうと思い、あまり気にも留めて居なかったので驚いた。心配になり、Aの旦那に電話した。
Aの旦那曰く、Aは育児も家事も自分の事すら何も出来ず、言動も 支離滅裂、家に引きこもって動けない状態かと思うと突然家から逃走したりするので、誰かが側についていないと危うい状態。日中は(義理の)お母さんやお姉さんが食事を運んで来て、赤ちゃんのお世話とAの監視をしている。病院に連れて行ったら『産後鬱』と診断され、それを聞いてAは激怒し病院に行くことを拒否している。
S家で話し合った末に、とにかく早くAに会おうと言うことに なった。両親は実家にしばらく帰って来て欲しいと懇願したが、 この様な症状が出たのは年末に実家に帰ったのが原因だ、とAは拒絶した。そこで、東京のBの家に気分転換に泊まりに来たら?と いう流れになり、Bの家にS家が集結する事になった。
斯くして私はAと赤ちゃんを迎えに沖縄に飛んだ。空港に着くと、AとAの旦那が私を待っていた。Aは『普通』だった。赤ちゃ んは笑顔も元気も一杯に育っていて、とてもホッとした。東京に 連れ出すまでの間、聞いて居た様な悪い症状はなかったが、抜け殻っぽく不自然な微笑みを浮かべていた事を覚えている。それか ら何故なのか、飛行機や電車をAが恐れていたのも印象に残っている。
Bの家に着いた。Bの4人の子供達がAの赤ちゃんに興味津々で楽しそうに遊んでいた。姉も鹿児島から来て、久々に姉妹揃って食卓を囲む和やかな時間が流れ、案外簡単にAは元に戻ってくれるかもしれない、とこの時は思っていた。
産前のA。
美容、ファッションに熱意を注ぎ、身 だしなみに厳しいA。自撮りの達人。
→ 続く 2章.これが鬱?