このブログを書き始めた時、まさにこれから恐怖の治療が始まる時だった。

 

正直、1年半先のことなんて全く考えらえなかったし、明日も明後日もあるかわからなかった。

 

だから、せめて自分が頑張った証だけは残したくて、どんな様相で朽ち果て行くかもしれない自分の姿だけは記録に残したくて。

 

そんな思いでこのブログを始めた。それはまさに『遺書』だった。

 

自分に万が一の事があったら、こんな闘病生活だったと一緒に振り返ってくれる誰かがいればそれで良い。そんな気持ちで始めた。
 

それがいつしかこのブログを書くことが、気晴らしとなり、ストレス発散となり、何より自分を励ます一つのツールになっていった。

 

1日たりとも欠かすことはできないという謎の使命感に自分を鼓舞し、どんなに苦しい日でも必ずベッドから起き上がって、いや這い上がって震える指でパチパチと書いた。

 

それが結果として、立派なリハビリにも繋がっていった。
 

そして、それを繰り返すうちに、知らぬ間に多くの同じ状況の患者さんやそのご家族が読んでくれていることを知る。

 

このブログを通して、やっと家族の治療について理解することができた。このブログを見て、真っ暗だった目の前に希望と光が見えた。

 

そんなコメントを日々いただきながら、私の『遺書』は日に日にその姿を変えていった。
 

よく考えて見れば、自分がこの病気に罹患する確率は10万分の1とも言われる。そうなれば、世の中に出ている症例の数は非常に少ない。

 

よって、患者の日常的な治療の様子や症状について触れる機会も極めて少ないのである。

 

今となってはただのオヤジの日記に過ぎないが、日々コツコツと刻み続けてきた記録が、いつの間にか急性リンパ性白血病の闘病に関する立派な『参考書』に変貌を遂げていた。
 

社会復帰が決まった今、このブログを続けていくことも正直難しい。

 

いよいよ、500日近く続けてきたこのブログにお別れをしなければならないかもしれない。

 

でも、まだこの参考書は完成していない。私が自信を持って完治したと報告できるまで、その記録を止めることはできない。

 

それが何年後になるかわからない。でも、来るそのゴールまで、どんな形になってもこのブログを通して生きた証を刻み続けていきたいと思う。

 

今まで読んでくださった皆さんに感謝の意をお伝えすると共に、これからも温かく見守っていただきたいと願いながら、私の中にあった一つの節目を終えたい。
 

ここまで支えていただき、本当に有難うございました。