体調は回復することなく、家に帰ってから一週間が過ぎようとしていた。
終始気持ち悪く、顔は赤く腫れ、舌は黒ずみ、そして今度は謎の腹痛に見舞われた。
チクチク痛み、食欲は無くなり、出るのは下痢と溜め息のみ。
まさかの絶不調である。
原因は確実に子供を叱ったことと、家中のあらゆる騒音によるストレスであることは間違いない。
もちろん、家にいれば楽しいこともいっぱいある。
しかし、同時にストレスもいっぱいあるのだ。
これは誰のせいでもない。
自分の体がそれに耐えうる状態に無いだけのこと。
そう思うと、相変わらずそんな自分が情けなく、またイライラしてくる。
弱音もボロボロ出る。
残り数日。
家の事情も相まって、最後の時間は実家で過ごすことになった。
この不調の状態で病院に戻って、また抗がん剤治療ともなれば、体は一体どうなってしまうのか。
まともに副作用と闘える自信が無い。
あと数日でできる限り、心身ともに回復しなければならなかった。
どうにか体調を戻そう。
そう思って、身の回りの整理と再入院の準備をした。
子ども達と別れを告げて、実家へと向かった。
色々と騒動を起こしてくれちゃう次女も、今回は回転もしなければ号泣もせず、スムーズに送り出してくれた。
ただ、ちょっとだけ涙目になっていたところがまた愛おしい。
今回は思ったように子ども達と遊ぶことができず、また、家族で遠出することもできなかった。
子供たちのどことなく切ない顔を見ながら、申し訳ない気持ちになった。
でも、致し方ない。
次女も先日こう言っていた。
「でも、ナクナルよりマシじゃん?」
そうなのよ、全てそうなのよ。
死ぬこと以外はかすり傷。
命あれば憂いなし。
そう思えば、大抵のことは消化できる。
再入院まで残り数日。
また始まる第三クールの抗がん剤治療に向けて、しっかり療養をしようと自分に言い聞かせて家を後にした。