四月八日。

 

会社からも家族からも言われ、そして自分自身もいよいよ病院に行くべきだと思ったので、翌日の休みを使って病院に行くことを決めた。

 

この時点で、左右の鎖骨、左右の顎、左右の頭痛神経痛と、胸から上は全て痛かった。

 

熱も37.5℃だった。

 

朝を待たずして夜中の三時、胸と両脇腹の激痛で目を覚ました。

 

熱は38.1℃に上がっていた。

 

いよいよ、ヤバい。

 

そう心の中で呟きながら、せめて子供たちが家を出るまでは我慢しようと、痛みに耐えた。

 

子供たちが全員いなくなったタイミングで妻に言った。

 

「救急車で病院行くわ」。

 

妻は「いや、私が送るから車に乗って」と言ってくれたが、なんとなくこれは救急車じゃないダメだと判断した。

 

妻に迷惑を掛けるからという理由だけではなく、まともな状態じゃ無かったことは体が一番良く分かっていたのだと思う。

 

自ら救急車を呼び、到着を持った。

 

万が一に備え、パソコンや充電器の入った会社のリュックに二日分の下着をぶち込み、五分で到着した救急車に乗り込んだ。

 

妻には後から病院に来てもらうことにした。

 

激しい痛みの中でも、初めての救急車にちょっとワクワクしてた。

 

これ、子供たちに自慢しよう。

 

そんなことを思いながら、ドラマさながらに器具を装着され、色々と質問された。

 

どこの病院か希望があるかを聞かれ、私は迷わず地元で最大規模の病院を指名した。

 

以前にも別の病気でお世話になっていたし、個人的に信頼できる病院の印象が強かったからである。

 

救急車のサイレンとアナウンスが道路に響く。

 

外で聞くことはあれど、中から聞くのは初めてだ。

 

結構なスピードでガンガン道を進んでいく。

 

10分程で病院に到着し、これまたドラマさながら、救急の入り口から病院のベッドへと運び込まれた。

 

全然歩けたのだが、何となく自分も重病患者の装いをしなきゃいけない感じがして、薄目で周囲の様子を見ながらぐったりした感じでベッドになだれ込んだ。

 

しかし、高熱があり上半身の激痛があるのは確か。

 

病院に来た安心感で心は落ち着いていたが、早く痛みを取ってくれと願うばかりだった。