入社してから無事に一年が経過し、仕事のステージも次のステップに進んでいった。

 

感覚的には三年くらい働いたくらいの濃密な一年であった。

 

事業は着実に拡大し、五年後、十年後はとんでもない成長をしていると思えるくらい、会社は可能性に満ち溢れていた。

 

これから益々忙しくなり、自分の役割と責任が増えてくるであろう大切な時期に、体の異変は起きた。

 

三月下旬。

 

いつもの様に仕事をしていると、何だか両脇腹が痛い。

 

ズキズキするような痛みである。今まであまり感じたことの無い感覚で、場所的に肋間神経痛か?と想像していた。

 

翌日には痛みはひき、何事も無かったかのように落ち着いた。

 

しかし、その翌日、今度は右の鎖骨と右の頭が痛みだした。

 

鎖骨も今まで痛くなったことはなかった。

 

頭痛に関しては、昔から頭痛神経痛を持っており、突然針で刺されたような痛みもあれば、時には金槌でいきなり殴られたような痛みが起きることがあった。

 

あー今回もこれか・・・この神経痛は厄介で、まず、本当に痛い。

 

のたうち回るほど痛く、いきなりその時はやってくるので相当タチが悪い。

 

それでいて、市販薬を飲んでもなかなか効きづらい。

 

神経痛なら昨日の脇腹の痛みも理解ができる。

 

そう思いながら、バファリンを飲み飲み、なんとか痛みが治まるのは待った。

 

翌日。頭痛神経痛は一旦収まったのだが、今度は左の鎖骨に加えて右の顎が痛み出した。

 

やれ、なんなんだこの痛みの転移は。

 

妻からは早く病院に行けと促されたが、仕事は忙しく、いくつかの出張もあるので休むわけにはいかなかった。