誰にでも人生のターニングポイントはあると思う。
私も今までいくつかの分岐点があり、その度に人生は変化していったと思う。
かなり自分勝手だったとは思うが、妻も子もいる中で、40歳を人生のターニングポイントだと捉え、長年勤めた会社を辞めた。
しかも次の仕事を決めずに。
それでも、自分で決めた道に妥協せず、新たな希望を信じて、40歳にして新しい仕事を見つけることができた。
前職を退職してから約八カ月、紆余曲折を経ながら、また都会のサラリーマンへと戻った。
それからというもの、ごくごく小さな会社の仕事は多忙を極めた。
特に私は経験値を期待されて入ったものだから、営業・業務管理・人事・総務・広報・制作など、ありとあらゆる仕事を任された。
私は社長に次いで年齢が高く、多くの社員は全員二十代である。
それも単なる二十代ではなく、様々なバックグラウンドと個性を持ち合わせた実に優秀な人材が揃っていた。
頭脳だけでは負けそうな勢いで、私は経験で食っていたと言っても過言ではない。
それでいて、みな真面目である。
とにかく真面目で性格が良く責任感が強い。
こんな若者達と働けることが何より楽しく、最大のモチベーションであった。
前職では、マネージャー職だったが、部下は全員年上。
相対する役員も当然年上。
外部の関係者は七十代オーバーの業界の重鎮達。
もっとエナジーのある若者と仕事がしたい!と思ったのも退職の理由の一つだ。
それがこの会社で実現できることになったのは、本当に有難いことだった。
決して楽な仕事ではなかった。
終電が続く日もあれば、休みが週一回になることもあれば、休みでも連絡はバンバン来る。
もう無理と思った瞬間は何度となくあったが、自分で決めた道を簡単に妥協するわけにもいかなかった。