都会の景色を眺めながらふと考える。
人間っていつ死ぬのだろうか。
何故死ぬのだろうか。
何故生まれ生きるのかについては散々考えてきた。
死に対しては、いつか訪れることくらい皆わかっている。
でも、日常生活においてそれは遠い存在である。
せいぜい他人の死を知り、自分の死について考えることくらい。
そうこうしているうちに、すぐにせわしない日常が追いかけてくる。
私の好きな歌である森山直太朗の「生きてることが辛いなら」が頭に流れる。
三日も経てば元通り。
私は仕事柄、お寺の住職と関わる機会が多かった。
彼らは仏教という教えを説き、その世界観を民衆に伝え、心の拠り所として庶民の支えになっている。
そんな毎日お経をあげているお坊さんでさえ、常に死について考えているわけでもないだろう。
死とはそういう生き物だ。
だからこそ、ある日突然、自分の身に近づいてきた時、心と体は今までにない反応を示すことになる。
お坊さんの話が出たので、一つ問うてみたい。
人間は死んだら生まれ変わるのだろうか。
仏教では、輪廻転生や六道という言葉があり、死ねば生まれ変わることを説いている。
私は生まれ変わると思っている。
正確には、魂だけが脈々と受け継がれていくと考えている。
真面目にそう信じているが、ある意味では、そう考えることで死への恐怖を和らげているのかもしれない。
だからといって、死ぬことが怖くないかといえば、それはまた別の話。
生まれ変わっても肉体も記憶もそこには無いから、そもそも生まれ変わったことすらわからない。
でも、どこかで誰かが自分の魂を受け継いで新たな命を懸命に生きていることを信じて止まない。
私は病気になる前から、妻には「悪いけど、来世も一緒だろうからよろしく頼むね」とお願いしていた。
それに対する妻の返答はいかに。
「いやいや、もう勘弁して」。
だそうだ。
どうやら一回でお腹いっぱいみたいだ。
前世も一緒だったことも知らずに。
そんな冗談めいた会話も、今や懐かしい