立春をすぎたころ、1通のお手紙が届いた。

 

私のブログを、ずいぶん前から読んでいてくれていた方からだった。

 

 

長い時間をかけて見つめられていたのだと気づいて、

少しだけ驚いて、それから、ほんの少しだけ、うれしかった。

 

 

丁寧な言葉で書かれたその手紙に、きちんと返したいと思った。

 

何度か便箋を開いて、言葉を探してみたけれど、

書こうとするたびに、どこかがずれていく気がした。

 

 

 

うまく言えないまま、時間だけが過ぎていく。

 

返したい気持ちはあるのに、

その気持ちのままでは、どうしても言葉にならなかった。

 

 

 

気づけばノートに、散文のような詩を書いていた。

 

 

 

 

 

沈黙のまま(〇〇→ 一部省略)



手紙が送られてきた。
薄ピンク色の封筒。
あの方らしい字で、
「お元気ですか」と書いてある。

遠くのあの方から。

元気ですか。
その一行は、やさしくて
角もなく、責めもなく、
ただ、こちらを気づかう形をしている。

けれど
その人はわたしを知らない。

わたしの内側で続いていることも、
〇〇〇〇〇〇でいることも。

「元気です」と書けば
きっと丸く収まる。
「元気ではありません」と書けば
きっと困らせる。

どちらも本当ではなく、
どちらも本当だ。

やさしい言葉だけが繰り返され、
わたしたちは
〇〇〇〇〇〇〇をする。

でも
〇〇〇〇〇〇ことを
わたしだけが知っている。

だから
返事はしない。

薄ピンクの封筒は
机の端に置いたまま、
わたしの沈黙だけが
正確に、
わたしを表している。

 

 

 

 

 

 

この頃から、「ブログかぁ……そろそろ始めてみてもいいのかもなぁ…」
そんなことを、ぼんやりと考えるようになっていた。

 

 

きちんと返事を書くことはできないままだったけれど、

言葉を置いておく場所があれば、それでも何かは届くのではないかと思った。

 

ご返事を書けなくても、

今の自分のかたちは、少しは伝わるかもしれない。

 

それが、ブログに戻ろうと思う、ほんの小さな理由になっていたのだろう。

 

 

 

 

 

書けなかった言葉のいくつかは、いまもそのまま残っている。

 

 

返事をしないこともまた、ひとつの形として、静かにそこにある。

それでいいのだと、ただ思っている。