【第97則 《金剛経軽賤》】


 垂示に云う、


 一つのものをつかんで、一つのものを手放すのは、いまだやり手ではない。一を提起されて三を理解するのも、なお根本の教えに反する。


 たとえ、天地を突如として変化させ、四方で唱和する者が無くても歌を唄い、雷・稲妻をすばやく走らせ、雲を呼んで突然雨を降らし、深い淵と山を逆さまにし、瓶やタライをひっくり返したように怜悧なハタラキであっても、まだ半分も取り上げたとはいえない。


 北極星の位置を変え、地球の軸を動かすものはいるだろうか?取り上げてみよう。


***


【本則】


 『金剛経』に云う。


 もし人から屈辱を受けたならば、


 この人は、前世の罪業が、地獄に落ちるべきだったとしても、


 今世で屈辱を受けたことによって、前世の罪業は消滅する。


**


 【頌


明珠在掌、

有功者賞。

胡漢不来、

全無伎倆。

伎倆既無、

波旬失途。

瞿曇瞿曇、

識我也無。

復云、勘破了也。


*


 頌って云う、


 透明の珠は手の中にあり、


 功績あるものには、褒美として与えよう。


 とはいえ、胡人も漢人も攻めてこなくなったら、


 珠を持つ意味はない。


 技量を図る必要がなくなれば、


 魔王が存在する意味はない。


 釈迦よ釈迦よ。


 私を見分けることができるのだろうか?


 雪竇は繰り返す。


 「また見破ってしまったぞ」。


野狐禅RRPGのブログ

『金剛般若波羅蜜経・張則之筆 (故宮博物院・台北)』