野狐禅RRPGのブログ

『潙山霊祐』


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『百丈懐海』


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【第70則 《潙山侍立百丈》】


 垂示に云う、


 優れた人間は一言を与えれば悟り、優れた馬は一鞭を与えれば走る。


 あたかも、一万年が一瞬であり、一瞬が一万年である。


 言葉にして提起してしまえば、そのものズバリではない。


 さて、言葉になる前に、どのように探り当てるのか?提起してみよう。


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 【本則】


 潙山・五峰・雲巌の三人が、百丈のそばに立って控えていた。


 百丈が潙山に質問した、


「喉も唇もぴったり閉じたとしたら、どう言うのか?」


 潙山は言った、


「どうぞ和尚、言ってください」


 百丈は言った、


「わしはお前たちのために言ってやってもいいが、私の弟子や孫弟子を失うことが惜しい」  


**


 【頌】


却請和尚道。

虎頭生角出荒草。

十洲春尽花凋残、

珊瑚樹林日杲杲。


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 頌って云う、


 「どうぞ和尚、言ってください」。


 虎が頭に角を生やして、草の陰から出てきたぞ。


 不老不死の仙人が住む海上の島では、春が終わって花がしぼむ。


 海中の珊瑚の群生には、日が幾重にも幾重にも折り重なる。


***


【公案の解答例】


 百丈の《心》にひかれて集まった弟子ならば、《言葉》はなくても、百丈の《心》は通じる。


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 百丈の《名前》にひかれて集まった弟子ならば、《心》のともなわない会話になる。


 うわべだけの《言葉》では《心》は通じ合わないから、いずれ弟子たちは去っていくだろう。


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『溌墨仙人図・梁楷筆 (故宮博物院・台北)』