野狐禅RRPGのブログ
『石霜楚圓』


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【第55則 《道吾の弔問》】


 垂示に云う、


 堅実かつ緻密であり、すべてが真実である境地にあって、即時に悟り、事物にあらがわず順応してゆくハタラキを示して、電光石火の素早いハタラキのうちに、ずばりと難解なものを裁断する。


 そして、虎の頭に乗り、虎の尾を収めとり、断崖絶壁のように切り立っている。


 それはそれとして、一筋の道を見つけたときは、学人をどう導いていくのだろうか?提示してみよう。


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 【本則】


 道吾(どうご)和尚が漸源(ぜんげん)とともに、ある家に弔問に行った。


 漸源(ぜんげん)は、棺桶をたたいて言った。


 漸源 「生きているのですか?死んでいるのですか?」


 道吾(どうご) 「生きているとも言えないし、死んでいるとも言えない」


 漸源 「どうして、言えないのですか?」


 道吾 「言わない」


*


 弔問から寺へと戻る途中、漸源は道吾に言った。


 漸源 「和尚様、今すぐに私に言ってください。もし言わないと、和尚様を打ちますよ」


 道吾 「打つならご自由に。しかし、言えというのなら、言わない」


 漸源は、道吾和尚を打った。


*


 後に、道吾和尚が亡くなった。


 漸源は石霜(せきそう)のところに行き、その話をして質問した。


 すると石霜は言った。


 石霜 「生きているとも言えないし、死んでいるとも言えない」


 漸源 「どうして言えないのですか?」


 石霜 「言わない」


 その瞬間、漸源は大悟した。


*


 漸源はある日、鋤を手にして法堂を行ったり来たりした。


 石霜 「何をしているのか?」


 漸源 「道吾師の霊験あらたかな遺骨を探しています」


 石霜 「見渡す限りの大波は天に逆巻く。それなのに、なぜ遺骨を探そうというのか?」


  【雪竇がコメントす】 「ああ残念なことだ」


 漸源 「全力を尽くしてみます」


 そこにいた雪峰が、口をはさんで言った。


 雪峰 「道吾師の遺骨が、ここに残っているぞ」


***

  

 【頌】


兎馬有角、

牛羊無角。

絶毫絶氂、

如山如獄。

黄金霊骨今猶在、

白浪滔天何処著。

無処著。

隻履西帰曾失脚。


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 頌って云う、


 兎や馬には角があり、


 牛や羊に角はなし。


 微小の極限にありながら、


 山のように巨大にそびえる。


 黄金の霊妙な遺骨は、まだここにあり、


 白波は天に逆巻く。


 どこに遺骨を置いたらいいのか?


 置き場がない。

 

 達磨は片方の草履を残し、インドに帰ってしまったぞ。 


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野狐禅RRPGのブログ
『菩提達磨』

 「以心伝心」、「不立文字」を説く。


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【公案の解答例】


 棺桶の中の人は、遺族の心の中で生きているかもしれない。


 だから、死んでいるとも言えないし、生きているとも言えない。


 その理由を質問されても、道吾の心は答えたくない。


 だから、「言わない」。


*


 道吾は亡くなっても、誰かの心の中で生きているかもしれない。


 だから、死んでいるとも言えないし、生きているとも言えない。


 その理由を質問されても、石霜の心は答えたくない。


 だから、「言わない」。


 しかし少なくとも、漸源の心の中で、道吾は生きている。


 生きているか死んでいるか、答える気があるのかないのか、それを決めるのは、あくまでも本人の心。


*


 兎や馬は、角がなくても、心の中に角があるのかもしれない。


 牛や羊は、角があっても、心の中には角がないのかもしれない。


 達磨はインドに帰ってしまったが、彼の心は、人々の心に、残っている。


 道吾は死んでしまったが、彼の心は、人々の心に、山のように巨大に残っている。


 それなのに、漸源は彼の遺骨を求めてしまった。


 残念ながら、遺骨には何も残されてないのに。 


*


 モノや言葉は、魂が入って、はじめて実在となる。


 魂のないモノや言葉は、空虚である。