野狐禅RRPGのブログ
『菩提達磨』


【第20則 《龍牙西来意》】


 垂示に云う、


 山のように重い疑問を抱いて障壁にぶちあたったとき、思案に暮れて行き詰ってしまうのは、なんとも情けないことだ。


 もし一人の男が現れて、大海をひっくり返し、須弥山を蹴り倒し、白雲を怒鳴ってまき散らし、天空を打ち砕き、さらに一つ一つの所作が天下の人々の舌を押さえ込んで黙らせるならば、お前たちはこの男に近寄ることはできまい。


 さて、これまでにどんな人物がそうであったか。取り上げてみよう。


***


 【本則】


 竜牙が翠微に質問した。


 「達磨がインドからやって来たのは、どういう意味ですか?」。


 翠微は言った。


 「禅板を取ってくれ」。


 竜牙は翠微に禅板を手渡し、翠微は受け取るとすかさず打った。


 竜牙は言った。

 

 「打つことはかまいませんが、結局、達磨がインドから来た意味はないのですね」。 


 竜牙はまた臨済にも質問した。


 「達磨がインドからやって来たのは、どういう意味ですか?」。


 臨済は言った。


 「わしに布団を取ってくれ」。


 竜牙は臨済に布団を手渡し、臨済は受け取るとすかさず叩いた。


 竜牙は言った。


 「叩くことはかまいませんが、結局、達磨がインドから来た意味はないのですね」。



(注) 「禅板」…座禅のとき、ひざの上に載せ顎を支えて、姿勢が崩れないようにする。


***


 【頌】


竜牙山裏竜無限、

死水何曾振古風。

禅板蒲団不能用、

只応分付与慮公。


**


 頌って云う、


 竜牙山の竜に、眼(まなこ)なく、


 淀む水に、古き禅風は起こらず。


 禅板、蒲団がないならば、


 慮公に与えるしかないようだ。



(注) 「慮公」…六祖慧能のこと


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『臨済義玄』


【公案の解答例】

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