【マズローとは?】

モチベーションの話をするときに、よく「マズローの欲求段階説」の話が出てきますが、みなさんは耳にしたことがありますか?


アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow)はアメリカの心理学者で、1908年にニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区に生まれました。


両親は貧しいロシアからのユダヤ人移民であり、7人兄弟の長男だった彼は、両親の期待を背負って学問の道へと進みました。


マズローは、人間性心理学を生んだ重要な人物だとされています。

人間性心理学とは、精神病理の理解を目的とする精神分析と、人間と動物を区別しない行動主義心理学の間にある「第三の勢力」といわれています。


マズローは、人間の欲求を階層に分けたピラミッドを主張したことでよく知られています。

こういったマズローの欲求段階説は、貧しい生活やマイノリティへの所属、アカデミックでの成功などの生い立ちが影響しているのかもしれません。


【マズローの欲求段階説】

マズローが提唱した「欲求段階説」では、人間の欲求は5段階のピラミッドのようになっていると主張しています。

それは、底辺から始まり、1段階目の欲求が満たされると1段階上の欲求を志していくというものです。

低次の欲求から高次の欲求へと移っていくものになります。


1.第一段階「生理的欲求」

・食べたい

・飲みたい

・寝たい

など、生きていくための基本的、本能的な欲求を言います。

これが満たされなければ、人は不快感を覚えたり、イライラしたり、病気になったりしてしまいます。


2.第二段階「安全の欲求」

・雨風に濡れない家に住みたい

・病気をせずに健康に長生きしたい

・襲われない

など、安全な環境を求める欲求を言います。

例えば、日々DVなどを受け生存を脅かされていたりする場合は、安全を確保することに必死になり、それ以外のことが考えられなくなることもあるほどです。


3.第三段階「社会的(所属と愛の)欲求」

・仲間が欲しい

・組織に所属したい

など、孤独から脱することを求める欲求を言います。

この欲求が満たされない場合には、人は孤独感や社会的不安を感じてしまいます。

孤独死など社会から隔離されてしまう場合に起こりうることです。


4.第四段階「承認(尊厳)の欲求」

・他者から認められたい

・尊敬されたい

など、”他人からの賞賛を求める欲求”であり、グループへの帰属が前提となります。

この欲求は2つの部分に分かれており、1つは「仕事の遂行や達成」です。

そして2つめは、それを「他人から注目されて賞賛されること」です。


5.第五段階「自己実現の欲求」

・能力を発揮したい

・創作したい

自分で立てた目標を達成する喜びをモチベーションにできるという点が特徴です。

自分の可能性を求める欲求になります。

マズローは晩年に、この上にさらにもう1つの段階があることを発表しています。

それは「自己超越」という、「目的の遂行・達成”だけ”を純粋に求める」というものです。

エゴもなく、見返りも求めず、ただ目的のみに没頭することを6つ目の段階としています。


【ヒューマン2.0をマズローの欲求段階説で考える】

モノが不足した経験を持たないヒューマン2.0は第二段階までの生理的欲求及び安全の欲求までの欲求をイメージすることが出来ません。


ヒューマン2.0が知っているのは、第三段階以上の仲間が欲しいという社会的欲求や、認められたいという承認欲求、さらには成長したいという自己実現の欲求だけなのです。

そのため、良い「仲間」と「意義」ある目標を「楽しく」追求したいのです。

モノよりも「意義」や「気分」が大事なのです。


『仲間と意義ある目標を楽しく追いかけたい!!』

これが当てはまれば、非常に勤勉に物事に取り込み、熱心に打ち込むことになります。


ヒューマン2.0の特徴として、「気分」を重視するため、安全志向が強い傾向にあります。

週末も冒険はせず、いつものメンバーで、気分を害される可能性をなるべく排除して、いつでも穏やかに過ごそうとします。


女性が男性を選ぶ基準も、一昔前であれば、

「高身長」

「高学歴」

「高所得」

の『三高』でした。


しかし、ヒューマン2.0は、

「低燃費(質素)」

「低姿勢(優しい)」

「低依存(お互いを尊重)」

「低リスク(安定した職業)」

の『四低』へと変化しています。

現状維持は勝者という感覚を持っているため、高所得は落ちるリスクが不安。

かっこよくて刺激の多いタイプよりも、波風の立たなそうな穏やかなタイプを選んだほうが、ドキドキハラハラしなくて落ち着く。という理由があります。


ヒューマン2.0は協調性が高いのが特徴です。

例えば、LINEでは常に空気を読み、人の気分を害さないコミュニケーションを心がけています。

もちろん爆弾を投下するような人はいません。

個人的には、つまらなく感じてしまいますが・・・


インターネットの普及により、様々な価値観、考え方、生き方をする人がいますが、ヒューマン2.0はそれらをすんなりと受け入れます。

決して相手の生き方を否定しません!!

そのため、自分の生き方も否定されたくないのです。


例えば、会社の上司が「私を否定する」なら、コミュニケーションをとって理解してもらおうとは思いません。

「この人に近づくのはやめておこう」

「飲み会は断ろう」

となります。


「お金」よりも「気分」を重視するヒューマン2.0にとって、仕事だから多少は我慢しようという感覚はないのです。


趣味の時間も仕事の時間も、どちらも同じ自分の人生の貴重な時間の一部という感覚です。


【仲間と意義ある目標を楽しく追いかけたい!!】

自分に合わない人や向かない仕事に我慢するのは「気分」が悪い。

アンマッチならば我慢しない転職するのがコスパの良いスマートな生き方だ!!

と考えるのです。


【まとめ】

ヒューマン2.0には「忍耐」という単語はありません。

「気分」を重視します。

部下に仕事だから我慢しろ!や仕事だから嫌なことでもやれ!

というのはお門違いになります。


如何にして気分良く働かせるか?

気分が乗れば、嫌なことであっても熱心に取り組むのです。


チームで意義ある目標を楽しく追いかける仕組みを作りあげることが重要です。