人の意識構造を階層別に分解して分析する手法があります。

それぞれの段階や、それを知ることでどういう効果があるのか?を知ることで、

自己やクライアントのセルフイメージを理解する助けになります。


【ニューロ・ロジカル・レベル】

ニューロ・ロジカル・レベルとは、アメリカの博士であり作家でもあるロバート・ディルツ氏が、イギリスの人類学者グレゴリー・ベントソン氏の考えを体系化したもので、人間の意識を以下の6つの階層に分類したものです。

1.「スピリチュアル」・・・ビジョン、展望

2.「自己認識」(アイデンティティー)・・・自己認識、使命

3.「信念・価値観」・・・行動の動機付け

4.「能力」・・・戦略、計画

5.「行動」・・・活動、反応

6.「環境」・・・機会、制約

このニューロ・ロジカル・レベルを元にした心理学が「NLP(Neuro Linguistic Programing)《神経言語プログラミング》」と呼ばれるテクニックになります。


上のレベルの方が下のレベルに与える影響が大きくなります。


「自己認識」が「価値観・信念」に影響を及ぼし、

「価値観・信念」が「能力」に影響を及ぼし、

「能力」が「行動」に影響を及ぼし、

「行動」が「環境」に影響を及ぼします。


反対に、下のレベルが上のレベルに影響を及ぼすことは少ないです。


【それぞれのレベルの説明】

下のレベルからそれぞれの段階について記載します。

1.環境レベル

衣・食・住や家庭環境などです。

服装、食生活、住居環境など、人が普段の生活の中で過ごしている環境全般のこと指しています。

環境全般とは、家庭環境や職場環境なども含まれています。


カバン、メガネ、靴、車など、持ち物も環境の一部と考えられます。

また、普段聴く音楽も環境の一部です。家の中の絵なども含まれます


例えば、学生の場合には、学校の環境もその人に大きな影響を及ぼしています。


2.行動レベル

仕事・趣味・勉強など、日々の生活は、たくさんの行動が連続して構成されています。

そして、人の行動には、様々なタイプ・パターンがあります。

・行動してから考えるのか?

・じっくり考えてから行動するのか?

・行動することが好きなのか?

・行動せずに、ゆっくりと過ごすのが好きなのか?

など、いろいろ考えられると思います。


3.能力レベル

人は、知的作業、スポーツ、芸術、技術など、様々な能力を持っています。

そして、人はそれぞれ得意な能力を持ち合わせています。

・コツコツやるのが得意なのか?

・追い込まれてから一気にやるのが得意なのか?

・クリエイティブなことが得意なのか?


反対に不得意なことも持ち合わせています。


得意な能力を伸ばし、不得意なことは得意な人に任せることが重要です。


4.価値観・信念レベル

どんな価値観を大切にしているのかは、人によって違います。

心を大切にする価値観があります。自分の心を重要視して、その時々の気持ちを大切にします。そうすると家族や他の人に対してもやさしい気持ちになることができて、人間関係も円滑になってきます。

人の気持ちを大切にして、家族や友人との心の交流を大切にする人がいます。

また社会的地位よりも、趣味や心の満足を大切にする価値観があります。

他方、物質的なことや社会的なことを重要視する価値観があります。地位・名誉・財産などを大切にする価値観です。

「人生、結局はお金だ」という価値観で生きている人がいます。また自分が承認される欲求が強く、人から高く評価され、承認されたいので、社会的地位・名誉を得ることを重要視する価値観があります。

人は、信念を持って生きていきます。「努力は報われる」「感謝と反省」など、程度の違いがあるにせよ、人には様々な信念があります。

人には、いろいろな思い込みがあります。合理的なことよりも、先入観・固定観念・先例・常識などを根拠にします。

本人は、固く真実であると信じ込んでいるので、他者と共有することが困難なことが多くなります。

思い込みは、弊害があるけれども、夢を実現する時など、思い込みが強いので、夢が実現する場合もあります。思い込みは、上手に活用すれば、人生を成功させるためのリソース(資源)になります。


5.自己認識・アイデンティティレベル

「自分はどんな存在なのか?」「自分は価値ある存在なのか?」「自分に与えられたミッションとは何か?」など、根源的な自己認識のことです。

どのような自己認識を持つかによって、その人の人生行路が全く違ってきます。



【一般的なサラリーマンの意識をニューロ・ロジカル・レベルで説くと?】

一般的なサラリーマンにニューロ・ロジカル・レベルの上記5段階の質問をした場合どのような回答が返ってくるでしょか?


1.アイデンティティレベル

質問:あなた何者ですか?

回答:私は会社の歯車です。

2.信念・価値観レベル

質問:仕事において何が大切ですか?

回答:期待に応えることと協調性です。

3.能力レベルは?

与えられた仕事をしっかりこなす。という能力を身につけます。

4.行動レベルは?

指示待ち、前例踏襲するという行動パターンをとります。

5.環境レベルは?

愚痴を言い合える仲間という環境に身を置きます。


一般的なサラリーマンには、

社会をより良くするビジョンを自ら想い描くことはありません。


彼らは課題を与えられるのをただただ待っているだけなのです。


一方、

【企業内起業家は】

1.アイデンティティレベル

質問:あなた何者ですか?

回答:私は会社の歯車です。

2.信念・価値観レベル

質問:仕事において何が大切ですか?

回答:期待に応えることと協調性です。

3.能力レベルは?

与えられた仕事をしっかりこなす。という能力を身につけます。

4.行動レベルは?

指示待ち、前例踏襲するという行動パターンをとります。

5.環境レベルは?

愚痴を言い合える仲間という環境に身を置きます。


【最後に】

相手の話を6つのレベルに当てはめて聞くコミュニケーション・モデルです。

環境:When/Where「いつ?、どこで?」

行動:What「何をするの?」

能力:How「どのように?」

信念・価値観:Why「なぜ~をするの?」

       ビリーフ(目的)

自己認識:Who「わたしって誰?どんな役割や使命を持っている?」

       アイデンティティ

スピリチュアル:宇宙・地球・地域・社会・職業・家族

たとえば、お客がクレームを申し立てた場合。

どのレベルで、なぜ問題になっているのかということを、はっきりさせることができます。

そこから、楽々問題解決することができるのです。