『毒舌仏教入門』ー今東光
●一隅を照らすはこれ国宝なり-②

伝教大師は、「お前たち弟子たちは、天井からずっと部屋中を明るく照らすような偉い人間にはなれそうもない。あかんたれや。がしんたれ(意気地なし)や。だからしゃあない、部屋の片隅だけでも照らす人間になれ」とおっしゃった。今東光の頭のようにピカピカ光れとは言わん。

光っても四隅は照らさん。それでも、まあ片隅でも照らせば国にとって大事な人間になれる。だから、一隅を照らせ。これは国の宝だ。努力して一隅を照らせ。ホタルぐらいには光るようになれと仰せられた。

これにはまったく痛み入ります。せっかく頭を光らせても、ちっとも四隅が光らないようでは、わたしなどこんな衣を着ているのが恥ずかしい。
「そのとおりだ」とみなさんが言われるなら、わたしは勿体ないからこの衣を脱いで、褌一つになってストリップ説法したるわい・・・・・と言いたくなるくらいのもんです。本当に恥ずかしい。
袈裟を着ているに恥じない、一隅を照らせるだけの人間にならないといかん。