『ユダヤ人の発想』ーラビ・M・トケイヤー
●不確実性の時代を生き抜く条件


権威から自由であれ

さて、タルムード的人間が成功する第一の要件が「よく学ぶ」ということであれば、第二は「権威を認めない」ということであろう。
『タルムード』では、いかなるささいな質問でも、それを呈するのにひるんではならないということを教えている。このような世界では、絶対的な権威を尊ぶ権威主義者はお払い箱になってしまうのだ。「モーレツ型人間」は権威に盲従する権威主義者である。しかしタルムード的人間は見せかけの権威を信じない。権威を常に疑う自由な人間なのだ。あるいは常に疑問を持つと言いかえてもよいだろう。疑問というものは、既成の権威に対する挑戦である。しかしそれを恐れてはならない。

英語で「権威」という言葉はオーソリティ、あるいはプレスティッジである。authorityには「当局」という意味がある。語源を調べるというのは面白いことだ。しばしばその言葉の本当の意味に光を当てる。prestigeの語源は、ラテン語でpraestringere ーー「騙す」ということだ。有名銘柄商品が「プレスティッジ商品」と呼ばれることと合わせて考えると面白い。権威はこけおどしであることが多い。ほとんどすべての権威は、まず疑ってかかるべきだ。
 
 
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