『大人の教養教えます』ー鷲田小彌太
●小説や映画が廃れたもう一つの理由ー①


つまらない文学

文学、とりわけ小説は売れない、といわれる。そんなことはない。売れている小説はある。小説が読まれる絶対量は、確実に増えているのだ。

 

ただ、かって「小説」の見本のようにいわれた類のものは売れない。なぜか。答えは簡単だ。つまらないからだ。かっては、新奇で、高貴で、啓発するところのあったものも、今では、古色蒼然、つゆ気がまったくない、ということになってしまったからだ。

 

つまり、作家の「教養」が、読者の「教養」に追い越されてしまっているのだ。簡単にいってしまえば、勉強不足なのね。

「紺碧の艦隊」(徳間ブックス)の荒巻義雄は、かって、私の『イデオロギーの再認』(白水社)を読んで、この本にはコンセプトがない、といった。バツといわれても、嫌な気はしなかった。もっと勉強せい、俺はしている、といっているのだ。荒巻が、圧倒的に面白く、売れる本を、その後、書き出した理由がよくわかる。