『ローマの哲人・セネカの言葉』-中野 孝次
●一人で十分


わたしにとっては一人が大衆であり、大衆とは一人である。
      ---デモクリトス

 

 

わたしには少数者で十分だ。一人で十分だ。誰もいなくても十分だ。
     ---無名氏

 

わたしはこれを多数者のために書くのではない、一人のために書くのだ。なぜなら我々二人は、一人がもう一人にとってすでに十分な数の大衆だから。

    ---エピクロス


これらを、ルキリウス君、君の胸にしまっておきたまえ。君が大衆の賛同から生じる満足感を軽蔑できるように。
            「手紙」7-10・11

 

大衆の喝采は物事の正しさの証明にはならない。正とか善とか美という問題については、数の多少は判定者にはならない。一人の正しく見る目があれば十分なのだ。

 

 

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