『ノブレス・オブリージュ』ーひろさちや

インドでは同じ品物を同じ店で買っても、金持ちは高く買わされます。貧乏人は安く買えるのです。

わたしが買った三分の一の値段でインド人のお客に商店主が売っているのを見て
店の主人に「ひどいじゃないか」と抗議しました。

すると、店の主人もインド人のガイドも「あなたは金持ちだから高く買ってあたりまえです。インド人は貧しいから、安く買えるのです」

と、説明してくれました。これは、インドだけではありません。欧米も同じです。

そもそも、あのチップというものは、金持ちが多額を支払わされるものなんです。庶民が行く店には、チップなんてない所もあります。

多額のチップを払ったからといって、金持ちが特典を受けるわけではありません。逆に、上流階級のほうが'義務'が大きいのです。

欧米では、貴族はグリーン車に乗らねばなりません。貴族が普通車に乗ると、普通車が混んで庶民が迷惑します。だから貴族はグリーン車に乗る「義務」があります。グリーン車が満員で普通車がガラガラでも、貴族はグリーン車の中で立っていなければならないのです。

このように、上流階級の人間にはそれだけ「義務」が大きいという社会通念を、フランス語で『ノブレス・オブリージュ』(
高貴なる者の義務)ーと言います。