投稿写真

『中国古典・一日一話』ー守屋洋
●「三分の男気」をもて

✪日本では、「侠気(きょうき)」といったら、ヤクザ者の世界を思い浮かべる人が多いかもしれない。親分や兄弟分のためなら命まで投げ出すのが、ヤクザの侠気ということになっている。友だち付き合いでも、侠気、つまり男気が重視される。与謝野鉄幹も「友を選らばば書を読みて、六分の侠気、四分の熱」と歌っている。

さらに度が過ぎると、理非の判断を超えて力を貸すのがよき友とされるような傾向もないではなかった。
『菜根譚』は、友だちとの付き合いでも、侠気は三分に抑えろといっている。
これがゼロだと、もはや友とはいえない。だが八分も十分も発揮したら、共倒れになる恐れがあるし、第一、交友が長続きしない。

任侠道というのは、もともと中国のほうが先輩である。中国には、古くから「游侠」の徒がいたが、どうやら事情は日本と同じで、しばしば暴走することもあったらしい。『韓非子』も「侠は武を以て禁を犯す」といっている。一肌脱いで格好いいところを見せようとすると、ついコントロールが利かなくなる、という教訓である。

#中国・菜根譚 #友を選らばば #三分の侠気で十分