『旦那』-について  

 ●うちの旦那について

 

最近、若い主婦は自分の主人のことを「うちの旦那」という人が多い。「お前のオヤジ」と同様に聞き苦しい。

この「旦那」というのはくわしくは「檀越(だんおつ)」のことで、由来は仏教的な意味合いからきているらしい。サンスクリット語でダーナパチで、「施主」ということである。また、「慈善心のある人」ということである。召使い、小僧、使用人に目をかけて生活の保証をしてくれる立派な人格者のことである。

 

だから、「うちの旦那はケチくさい」などというのは意味が通らないし、そんな立派な「旦那」はそうそうはいないだろう。日常的に、チマチマして暮らしている人のことを「旦那」と呼ぶにはおこがましいかぎりである。

「旦那」は悠然と暮らして、下々の人々に徳を惜しげもなく与える人のことである。

また、同じく、「オヤジ」という言い方も息子が謙遜して他人に言う言い方であり、他人が人の親のことを「お前のオヤジ」と言うのは不遜である。

 

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