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『平成経済20年史』ー紺谷典子
●審議会という不思議な存在ー④


たとえば、財務省の審議会で「財政危機への対応が手ぬるい、もっとムダをなくして歳出削減せよ」という批判を開陳する人がいる。ところが、こうした批判は辛口に見えて、実は財務省がもっとも言って欲しい意見なのである。辛口で評判の素人ほど、省庁にとって、便利でありがたい存在はない。

4期8年は、それも可能という規則になっているだけだから、必ずというわけではない。したがって、やめさせる理由を、ことさらに説明する必要もない。任期が終わりましたので、と言うだけで十分なのである。

省庁にきわめて協力的な場合には、逆の現象が起きる。たとえ8年が過ぎても、臨時委員、特別委員の名目で在籍が可能らしく、それを繰り返して、延々と委員を務めている人もいる。有識者と言われている人々の審議会の経歴を調べてみれば、面白いかもしれない。

審議会は当然だが、審議会以外にも行革会議や経済財政会議のような多くの会議や懇談会がしばしば設置される。そのメンバーについても、省庁がリストアップを行うのが通例である。官邸がリストアップしたことになっていても、官邸に派遣されている秘書官など、候補者リストを作成するのは官僚である。

そして、マスメディアがそれぞれの問題について取材するのは、審議会委員であることが少なくない。こうして審議会は、結果的に、財務省をトップとする霞ヶ関の世論作りに貢献しているのである。そういう審議会委員を歴任してきた人たちで主として構成されたのが、行政改革会議だったのである。




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