『おもしろ雑学日本史』●道玄坂と呼ばれるのは？ー樋口清之

『おもしろ雑学日本史』ー樋口清之
●渋谷は渋谷氏、道玄坂は野盗の道玄氏から取った名

🔯渋谷は今や若者の町、流行の先端をいく町だが、その歴史は意外と古い。
その由来をたどるには戦国時代にまで遡(さかのぼ)らなくてはならない。今から400年以上前だ。

鎌倉時代に、時の執権北条義時に反抗して、滅亡の憂き目をみた和田義盛という武将がいたが、この和田の残党が、当時渋谷のあたりにいた渋谷氏のもとに逃げ、大和田と名前を変え、現在の道玄坂あたりに城を造って住んでいた。大和田城だ。

ところが、戦国時代になって、頼りにしていた渋谷氏が上杉朝興に滅ぼされ、大和田氏は城を追われることになる。この時の大和田氏が大和田太郎道玄であり、道玄坂という地名と関係ある人物である。

なぜ、城を追われた人物の名前が坂の名前になったかというと、城を追われた彼らは野盗になり、この坂を舞台に暴れまわったからである。そして、晩年になると道玄は仏門に入り、前非を悔いるとともに、この近くに道玄庵という庵(いおり)をつくった。こうした経緯から、この坂は道玄坂と呼ばれるようになったのである。


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