『人生日訓365日』-友松圓諦
●店はショールーム

一体、「店(てん)」という漢語を日本流に「みせ」と訓読しているのはどういうわけであろうか。「みせ」とはお客に品物を見せるところであるからである。店はもちろん、品物を売るところ、買って貰うところではあるが、買って貰うためには買う人に先ず納得(なっとく)して貰わねばならぬ。買ってみようという決心と行動にまでお客の心持ちをおもむろに導いてこねばならない。それには何をおいても扱っている商品をお客の目に示し、お客に見て貰うことが先決問題である。

 

したがって買ってよい店とは品物の見やすい店、一目で自分の買いたい品物がわかる店、つまり、いいショールームかどうか、ということである。百貨店の売り上げが多いのは坪数と品数にもよるが、第一は何でも気楽に自分のほしい品物を自由に見てまわることができるからである。

かくして心ある店主は店のつくりを客人に自由に楽しく、見てまわれるように工夫するのである。

 

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