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『松下政経塾・講話録ー5』ー木村尚三郎
●東西と南北の方向感覚ー①

次に価値観の問題ですが、欧米人と日本人の価値観の違いについて考える場合、その前提として捉えておかなければならないことがいくつかあります。その一つは方向感覚の違いです。ヨーロッパ人は南北感覚が優れていて、われわれ日本人は東西感覚が優れています。

これは基本的な違いで、日本人は南北の方向感覚が全くダメです。私たちは方向を言う場合に、東北地方、東南アジアというふうに東や西を先に言い、北や南はあとから付けていました。戦後は、欧米がノースウエスト航空のように北や南を先に言うから、日本もこれに倣えということで、今は北や南を先に言うようになってしまいました。

しかしながら、本来は「東も西もわからない」とか、「東奔西走」というぐあいに、東と西が日本人の方向感覚です。相撲も「ヒガーシ、ニーシ」、芝居も「とざい、とーざい」です。つまり日本人にとっては事物が東にあるか西にあるかが第一の関心事であって、それが北に振れているか南に振れているかは二番目の関心事です。これが日本人の方向感覚というものです。

#日本人 #方向感覚 #東奔西走