『ユダヤ格言集』-ラビ・M・トケイヤー
●女は盗賊か?
✪二人の男女が結ばれると、今までどこにもなかった新しい世界が一つ生まれる
ということわざがある。この世界には、二人だけの新しい言葉が生まれるのだ。
結婚すると、男は失うものがある。もちろん、女も失うものがあるが、『タルムード』時代は、男の方が尊重されたので、女が失うほうの話はのっていない。
ある時、ローマの皇帝が、ラビ・ガブリエルにたずねた。
「女は男にとってどれほど尊いものであろうか?ユダヤの神はアダムを眠らせたうえで肋骨を一本取って女をつくったという。泥棒ではないか」
『聖書』の創世記には、確かにイブはアダムの肋骨からつくられたとのっている。ラビは皇帝に、その場にいたら警官を呼ぶべきだと答え、そしてつけ加えた。
「昨夜、私の家に盗賊がはいり、銀のスプーンを盗みました。そして金の盃を置いていきました」
「へえ、それはすごく幸運だった」
と、皇帝は創世記ではじめて太陽が昇ったように、目を輝かした。
「ええ、神が女を与えてくださったのも、同じ話です」
男が女といっしょになると、失うものがある。収入や、気ままな自由といったものである。
しかし、そのかわりに、黄金の盃である伴侶を得るのである。
