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”勘違い敬語の事典-⑤!!”-奥秋義信

『文法型の誤用』

とんでもございません(な・い→ございません)型の誤用

 次の設問に答えてください。

①とんでもない

②とんでもないです

③とんでもございません

④とんでもないことでございます

多くの人は③を正解と思われるのではないでしょうか。実は逆なのです。③だけが誤りということになります。もう少し正確に言うと、①と④がマル、②は半マルなのです。

世間一般の常識からすると、「とんでもございません」は、「とんでもない」を丁寧に言い表した表現と思われてはいないでしょうか。

確かに「ございます(ません)」は丁寧な言葉であり、これを用いて「とんでもございません」とすれば丁寧には聞こえます。現に、「ございません」を用いて言い換えれば、丁寧になるケースはいくらでもあります。

例えば「食べたくない」を「食べたくございません」、「行きたくない」を「行きたくございません」とするような場合です。しかし、それは、語意が打ち消しとして働くときに限られると知らなければなりません。文意の上で〈ある・なし〉の〈なし〉を表す言葉でなければなりません。

「とんでもない」の「ない」は、「あぶない」「きたない」「せわしない」などの「ない」と同じ働きの「ない」で、打ち消しの語ではありません。つまり、文意の上で〈なし〉を表しているのではないのです。いや、それどころか「せわしない」の「ない」などのように「せわしい」を肯定的に強調する働きさえもっているのではありませんか。

「あぶない」「とんでもない」などの「ない」が取り外しのできない形容詞の語尾であるのに対し、「食べたくない」「行きたくない」などの「ない」は、動詞・助動詞を打ち消す働きをもった、取り外し可能な接辞になっています。接辞ですから、「食べたく・ない」「行きたく・ない」のように付くのです。

「あぶない」「きたない」などから「な」を外してしまうことは、言葉にならなくなるので、できません。その証拠に「な」を外して、「あぶございません」「きたありません」などとは言えません。「とんでもございません」も同じなのです。