”柔道-全日本選手権”


 

 北京五輪の最終選考を兼ねた”全日本選手権”が昨日開催された。100キロ超級の戦いは、”井上康生”と”石井慧”と”棟田康幸”の3人に絞られていた。一番近かったのは、”棟田”だったのだが、準決勝で”石井”に敗れた。ほとんど差のない戦いだったが、積極性が前に出ず、惜しくも代表をのがした。”井上”は準々決勝で”高井”に得意の”内股”をはずされて、そのまま押さえ込まれて”一本負け”した。”高井”は”内股すかし”をねらっていたのであるが、相手の術中にはまった形である。


敗戦後の”井上”は、サバサバした感じで、やることはヤッタという気持ちで、きっぱり北京五輪をあきらめることができるだろう。井上のお父さんも、『よくやった。お疲れ様と言ってあげたい。』と言っていた。わたしが、初めて”井上康生”を観たのは、彼が18歳のときである。インターハイの団体戦の決勝戦で、3人残しの相手チームに対して、フラフラになりながら3人抜きを果たした時である。細いけれどワザの切れる選手だなという感じであった。100キロ超級には”篠原”という怪物が当時はいて、とても勝ち目はないと思われていたが、年々成長して、シドニー五輪の代表となり、見事金メダルを獲得した。当時から”内股”が得意技で、気持ちのよい”一本勝ち”を毎度、見せてくれていた。その強い”井上康生”も29歳となっていた。年には勝てないということであろう。また、”井上”の”内股”も研究されて、以前のようには決まらなくなっていた。


残念ではあるが、この辺が”潮時”というものであろう。若い”石井”には”北京五輪”で頑張ってもらうしかない。”井上”ほどの切れ味はないが、”石井”には、驚異的な”スタミナ”がある。五輪では、一日に5試合ぐらい続けて戦わなくてはならない。柔道の経験者にはわかるであろうが、一試合、一試合、”スタミナ”は奪われて、決勝の頃には、ベストとはほど遠いコンディションとなる。腕もなまり、力が入らなくなる。五輪で金メダルをとるには”技のキレ”と同様に驚異的な”スタミナ”を要求されるものである。そういう意味では、順当な選出と言えるだろう。選ばれたからには、”石井慧”には”井上康生”の分も頑張ってほしいものである。