間違い電話ネタな記憶:2 | 音楽しゃちょ『 K 』のブログ

間違い電話ネタな記憶:2

↓過去記事参照
『間違い電話ネタな記憶』
http://ameblo.jp/real117/entry-11399287809.html



朝、目が覚めて携帯電話を手に取る。

たいがい、ピカピカしている。

何時に寝ようが、何時に目が覚めようが。

常になにかしらの着信やメールが届いている。

どうも多くの人が私は24時間稼働していると思っているらしい。



先日。

同じように朝起きて携帯を手にすると。

知らない番号から着信がある。

まあ、私の場合、企業関係様だと知らない番号などよくある事。

このような時代なので、多少の警戒はするが、全てちゃんと折り返す。

しかし、今回は気になる事がある。

着信時間である。

朝5時。

朝5時に知らない番号から着信があればさ。

何か緊急なトラブルかと思うよね。

『すみません、身元の分からない水死体がありまして、金髪の青年です、一番多くリダイヤル通話の記録があるのがこの番号でして、あ、申し遅れましたが私、神奈川県警の○○と申します、よろしければ折り返しお電話を・・・』

なんて留守電が入っていたら怖くね?

きゃあ。

しかし、この着信には留守電は残っていなかった。

ふう。

ひとまず、折り返しを入れてみよう。

「はい、もしもし」

出た。

相手は中年のおさーんを感じさせる声だ。

「私の携帯に着信がありましたので、折り返しました、何か御用でしょうか?」

するとおさーんは?な感じで答える。

「え?は?いや・・・」

この時点で間違え電話だという事が8割方予想出来る。

「もしかして、番号をお間違えではないでしょうか?私の番号は○○○です。」

「あ!いやっ!はっ! そうかあ~、いやあ~」

でしょ。

続けて。

「下4ケタ・・・」

おさーんはつぶやいた。

何だかちゃんと喋れないおさーんなのだが、狼狽ぶりとつぶやいた一言から分かる事がある。

下4ケタの番号が私と同じなのだろう。

間違え電話で慌てているのだろう。

朝5時の電話だったので、非常に気まずい感じだったのだろう。

まあ、おさーんに悪気はないようだ。

気の弱く、コミュニケーションが苦手そうな方だった。

なので。

「お間違えでしたら、もう大丈夫ですよ」

先に行ってあげた。

「あ~、いや~、変な時間で申し訳ありませんでした・・・」

おさーんはゴメンナサイをした。

そうそう。

間違えたらまず第一声はゴメンナサイだ。

それがあれば良いのだよ。

上記過去記事のように人間のクズのような方ではない事は分かった。

「いえいえ、では失礼致します」

ふつーの間違え電話だ。

よくある話。

ここまではね。



翌日。

またも同じ時間に電話がかかってくる。

この時は起きていたので、電話に出た。

知らない番号だったが、なんとなく昨日のおさーんのような気がした。

「あ~、おはようございますう~」

おさーんは眠たそうな声で挨拶をした。

ヤパーリ。

また間違えている。

おさーんの方もまだ起きて間もないという感じだ。

なので、起きたてであまり驚かせてはイケナイなと、落ち着いた口調で話してあげる事にした。

「はい、おはようございます」

その瞬間、おさーんが狼狽するのが分かった。

「あ・・・いや・・・は・・・」

今度はすぐに間違え電話だと気が付いたようだ。

おさーんは言葉が続かない。

ショーガナイな。

「またお間違えですよね」

おさーんはアウアウ何か言っている。

まあ、悪い人ではない感じだ。

「きっと下4ケタが私と同じなのではないでしょうか?ご確認されてみて下さいね」

優しい口調で言ってあげた。

ちょとワラいながらね。

「あう・・・あう・・・すみません、すみません、こんな朝早くから・・・どーも・・・」

おさーんは早口でゴメンナサイをした。

ははは。

まあ、いーよ。

「いえいえ、番号をご確認下さいね」

そう言って電話を切った。



さらに翌日。

また朝5時。

同じ時間に着信が鳴った。

無登録の番号だが、おそらくあのおさーんだろう。

「おはようございますう~」

ホラね。

コレで3日連続だ。

ちょとからかってイタズラしてやろうかと瞬時にオモタ。

「さあ、クイズです!」

「オハヨーゴーザーイーマアースー(ドラえもん風に)」

「最近どう?」

3つくらい瞬時にオモタのだが。

まあ、朝っぱらから驚かせてはイケナイよね。

私が声にしたのはふつーのヤツだった。

「はい、おはようございます」

おさーんはまたしても狼狽し。

「あ・・・あ・・・あ・・・」

声にならない。

このおさーん。

優しい中年という感じで、あまり友達もいなく、仕事をすればヘマばかりして怒られていそう、気が付いたら月日が立ち何も積み上げてないウチに人生の半ばを折り返した。

そんな印象を受けるおさーんである。

まあ、ショーガナイか。

「ははは、またお間違えですね、大丈夫ですよ」

そう言ってあげると。

「あ・・・すみません!すみません!本当にすみません!」

おさーんは平謝りである。

ワカータよ。

もういいから。

「良いですよ、気を付けて下さいね」

そういって電話を切った。

ふう。

電話を切り、タバコに火を入れた。

PCに向かいながら日報をまとめている中考えた。

『あのおさーん、何で毎日、朝早くから電話をかけてくるのだろう?』

名前も知らない。

本来、ドコに電話をしようとしているのか知らない。

おさーんは何も喋らないからだ。

何でだ?

まあ、大体は予想がつくケドね。

私は探偵しゃちょである。

おそらくコレは、『派遣の仕事の出発連絡』だろう。

肉体労働系の派遣の仕事では、現場直行が多い。

その際に、派遣元に、

「いま、家を出ました」と連絡をする事があるのだ。

派遣元の気苦労として。

肉体労働系の派遣の仕事をする方々は非常にルーズな人が多い。

・来るべき人が現場に来ていない
・朝寝坊した
・バックれた
・行方不明になった

こんなんばっかである。

この関係の仕事の従事者に聞いてみれば、みんな口をそろえて言う。

「ロクな人間がいない」と。

まあ、定職を過去に持てない方々が集まる世界でもあるので、そうなってしまうのだろう。

もちろん、とてもちゃんとした方もいらっしゃる。

割合的に圧倒的に困ったチャンが多いという事だ。

出発連絡は、派遣元がちゃんと早起きて、仕事に向かったかどうかをチェックする意味でも朝連絡を義務付けている所が多い。

そうしないと、現場に行くべき人間が行っていないなど企業間の問題が起きるからね。

人員が足りなければ補充しないとイケナイし。

大変な仕事なのだ。

余談だったが、話を戻すと。

このおさーんは派遣の肉体労働系の仕事をしているのだろう。

おそらく、3日前から始めたのではないか。

その出発連絡先の携帯番号を聞いたばかり。

下4ケタが私と同じ番号なのだろう。

でも、おさーん、ウッカリさんなので、連絡先のメモか何かを書き間違えたのではないだろうか。

その間違えたメモ電話が私。

そんなヘマをやりそうなおさーんである。

おそらく、大体会っているだろう。

こんなん、探偵でも何でもないケドね。

それにしてもだ。

疑問は残る。

・おさーんは私の後に、ちゃんと出発連絡しているのか?
・しているのだったら、何故連続して間違えるのだ?
・携帯の登録の仕方を知らないのか?
・アホなの?

おさーん、ちゃんとしよーぜ。

もう、中年なのだからさ。

実際は中年なのかワカラナイケドね。

私の中では。

『44才くらい、髪の毛ボサボサ、身長が低くやや小太り、見た目パッとせず、仕事は一生懸命やるがヘマばかり、気が弱く、友達も少なく、結婚も出来ない、リストラに合い仕事を失い、貯蓄も尽きてきた頃にようやく仕事が見つかった、まだ慣れない現場作業だが、とにかく必死でやるしかない、対人は苦手だが、ウソをつかない正直な人間性は持つ』

勝手にこんなおさーん像が出来上がっていた。

見た目のイメージは、『稲中のフルーツジルジルのオヤジ』である。

知らない人、すまんね。

「電話もまともにかけられないようで、大丈夫かな、あのおさーん・・・」

PC椅子にもたれかかり、天井の蛍光灯を見つめながらそんな事を考えていた。

いや、実際、そーなのかワカランて。

全部、私の勝手な想像だ。

でもね。

話したイメージから、気の弱そうで何か手を貸してやりたくなるようなおさーんなのだ。

悪い人ではない。

ちょと心配になる。

むう。



さらに翌日。

最初の電話から4日目。

今日も朝5時に電話がかかってくるかと思い。

5時前から携帯をPCの隣に置き作業していた。

私、何やってんだ?

ワラ。

かかってきたら。

「おじさんおはよう、今日も間違えだね、まあいいよ、でさ、コレは派遣の出発連絡なのかな?」

こう、明るい声で話かけようとしていた。

私の予想が合っているか確かめたかったのだ。

ついでにね。

おさーんがどういう人なのかちょと聞いてみたかった。

しゃちょ。

知らないおさーんに興味持ち始めたぞきゃほーい。

だが、その日は電話は鳴らなかった。

あれれ。

むーん。

さすがにもう間違えに気が付いたかな?

電話帳登録をちゃんとしたのかな?

いや、もしかしたら今日は休みなのかもしれないね。

3連チャンだったし。

ぢゃあ、明日はあるかな?

翌日は起きてはいなかったが、起床したら着信があるのではないかと起きてすぐに携帯を見た。

しかし、その日も着信はなかった。

そして翌日。

さらに翌日も着信はない。

そっか。

さすがにもう間違えないか。

そりゃそーだ。

何度も何度も朝っぱらからの間違え電話をしては社会人として失格である。

でも、そんな事をやりそうなおさーんなのだけどね。

何だかワカラナイが。

ちょと寂しい気分になった。

なんだそりゃ。


・・・・・


ちょと待てよ。

本当に間違え電話をしなくなったダケか?

ならば良いのだが。

もしかしてさ。

クビになってない?

あのおさーん、使えないからさ。

いや、もしくはたった3日で仕事がイヤんなっちゃってさ。

あの世界にいる多数のダメ組になっちゃってない?

マズいよ。

クビでもバックレでもどっちでもマズいよ。

だって、おさーん、リストラされてるのだよ?

あのおさーんでは、年齢的にも再就職なんて無理だよ?

今の派遣の仕事はようやく見つけた所なのだよ。

クビならしょうがないが、自分のせいだったら、なんとか踏ん張りなよ。

もう貯金もないのだよ?

ヤヴァくね?

うわ。

ちょと焦った。

て。

全部、勝手な私の想像だ。

でもさ。

むーん。



私の携帯にはおさーんの着信履歴は残っている。

3回のうち最初の一回は二度とかけないので、目視上邪魔なので消してしまったのだが。

まだ2つ残っている。

私からかけようと思えばかかるのだけどね。

そんなん、かける事もオカシイしね。

でも気になる。

気になるぞ・・・。

おさーん。

だいじょぶ?

あのさ。

しゃちょブロ見ていたらもう一回電話してクレよ。

私さ、同じような派遣の仕事持っている人知っているからさ。

紹介するよ。

て。

見てるハズないケドな。

おさーん。

仕事。

がんがれよ。

いや。

私何やってんだ?

はうあ。