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妄想劇場

現実逃避の日々

アニキ  「いよいよ突入だ!

      スフィアハンター・カモメ・・・・・・ん?

      お助け屋・・・・・・・・おお?」

アニキはシンラを手招きした。

アニキ  「今なんだっけ?」

シンラ  「今更なんでもいいし。」

冷たくあしらうシンラ。

アニキ  「うーん・・・・・・。」

アニキはしばらく考えた後、勢いよく体を動かして叫んだ。

アニキ  「怒涛感動カモメ団、出撃!」

ダチ  「お、燃えるねえ。」

リュック  「ホントホント!」

ダチもリュックも嬉しそうに答えた。

パイン  「感動、だな。」

あきれて笑うパイン。

ユウナ  「とにかく、行ってきます!」

ユウナは苦笑いしながらも右手を挙げた。

シンラ  「カモメ団、最後のミッション、頑張るし。」

シンラは呟いた。

ダチ  「おいおい、最後だなんてやめてくれよ。」

ダチが慌てて止める。

シンラ  「僕にとってはそうなりそうだし。」

そう言うと、シンラはユウナのそばに走り寄った。

シンラ  「頑張って。」

ユウナはシンラを抱きしめた。

ユウナ  「平気平気。ちょっと行って話してくるだけ。」

シンラ  「うん。」

アニキはシンラの後ろでうらやましそうに体をくねらせた。

アニキ  「ハグハグは帰ってからのお楽しみ!」

妄想したアニキはにやけて踊りだした。

リュックもパインも見てみぬふりをした。

ユウナ  「カモメ団、行ってきます!」

ユウナたちはベベルに降り立った。

せえので、3人で穴に飛び込んだ。

すると、祈り子が現れた。

祈り子  「あのね、僕たちの力ではどうにもならなかったんだ。

      せめて誰かに伝えようとしたけど、影に引きずりこまれて、魔物と一緒になっちゃった。」

祈り子は申し訳なさそうに言った。

ユウナ  「いいんだよ。」

祈り子  「ごめん・・・・。」

ユウナ  「ねえ、あいつは・・・・何?」

祈り子  「シューイン?」

ユウナは頷いた。

祈り子  「あれは影だよ。

      シューインの姿をしているけど、彼本人じゃない。

      1000年たっても消えずに残った、シューインの憎しみや悲しみ。

      想いが強すぎて、ひとりでに動き出したんだ。

      消えたいと願っているのに、消えることができない、影なんだ。」

ユウナ  「影・・・・か。

       影なら大丈夫。消せる。」

祈り子  「自信があるの?」

ユウナ  「うん、まかせて。」

祈り子は頷くと消えていった。

ユウナ  「光で照らせば、影は消せる。」

リュック  「光?」

パイン  「レンの想いだね。」

ユウナ  「いわゆる、愛かな。」

ふと、ルブラン一味の姿が見えた。

リュック  「あ~!」

ルブラン  「ふん。ずいぶんごゆっくりじゃないのさ。」

ルブランは待ちくたびれたとばかりに言った。

ユウナ  「何してるの?」

サノー  「ヌージの言いつけとあれば、お嬢も待つしかあるまいよ。」

パイン  「会ったのか。」

ウノー  「この先へ進んだらさ、お嬢宛てのスフィアがあったんだ。」

ルブラン  「「絶対くるな。ここで引き返せ。俺の帰りを待て」ってさ。」

パイン  「らしくないな。素直に従うなんて。」

パインは皮肉を言った。

ルブラン  「それがねぇ、スフィアの中のダンナ、今までにないくらいいい顔をしててねぇ。

        あんな顔で言われたら、勝手なことなんてできやしないよ。」

ルブランはとろけるような表情で言った。

そして、心配そうに異界の入り口を見た。

ルブラン  「でもねえ・・・・。」

リュック  「待ってる人がいると、帰らなくちゃって思うよね。」

ルブラン  「ああ、待つともさ。」

ルブランはため息をついた。        

リュック  「ルブランがケナゲに待ってるって伝えるよ。」

ルブラン  「そうしとくれ。

        ケナゲってところを強調してね。」

ルブランは満足したように笑った。

ユウナたちは奥へ進んだ。

リュックが座り込んでいるギップルを見つけた。

リュック  「ギップル!」

ギップル  「油断した・・・・・まいった。」

パイン  「大丈夫か?」

ギップル  「一回休み・・・・・ってか。」

ギップルは苦笑いをした。

ユウナ  「ヌージさんは?」

ギップル  「先行った。」

ふと後ろを見ると、ルブランたちが来ていた。

リュック  「結局来てるし。」

ルブラン  「どこで待とうと一緒だろ。」

慌てて弁解するルブラン。

ユウナ  「じゃあ、ギップルさんのこと、お願い。」

ルブラン  「あたしに命令するのかい!?」

パイン  「ケナゲで献身的なルブランが待っていると伝えておく。」

ルブランはしばらく考えて嬉しそうに答えた。

ルブラン  「よし、乗った。」

リュックはあきれて笑った。

ギップル  「パイン先生。

        ヌージから預かった。」

パインはスフィアを受け取った。

ギップル  「2年前のだ。スフィアカメラに残ってたんだと。」

パイン  「後で見るよ。」

ユウナ  「待って。今、見た方がいい。

       気になること、そのままにしておいたら、ちゃんと戦えないから。」

パイン  「そうだな・・・・・。」

パインはスフィアを再生した。

ギップル  「何して遊ぶかなあ・・・・。

        どうよ、パイン先生。」

ギップルがカメラを回している。

カメラがパインを捕らえた。

パイン  「えっ?

      ・・・・・空飛ぶ船かな。さっき、あんたが話してたやつ。

      本当にあるなら飛ばしてみたい。」

パインは優しく笑っていた。

バラライ  「じゃあ、君が操縦士だ。僕は航法士でもやろうかな。」

ギップル  「機関士は俺に任せとけ。」

バラライ  「ヌージは?」

パイン  「船長。」

バラライ  「ああ、向いてそうだ。」

ヌージ  「素人に船を任せるとはな。」

照れたように言うヌージ。

ギップル  「安心しろ。

        黙ってふんぞりかえってりゃそれらしく見えるさ。」

パイン  「ぴったり。」

ヌージ  「こきつかってやる。」

4人は笑った。

パイン  「あの時の私、どこ行ったんだろうな。」

パインはスフィアを覗いて言った。

ユウナ  「パインの中で眠ってるんだよ。」

リュック  「起きて起きて!そろそろ出航だよ!」

ユウナ  「船長と航法士、迎えに行こう!」

ユウナとリュックは走りだした。

パインも頷いて二人の後を追った。

飛空挺に戻ると警報が鳴った。

ダチ  「誰かと思えばルブラン一味だな。

     ユウナに用があるみたいだな。

     エンジンルームで待たせておくぞ。」

ユウナはエンジンルームに向かった。

ルブラン  「ダンナの消息、つかめたかい?」

ユウナ  「異界の奥で会ったよ。

       ギップルさんも一緒だった。」

ルブラン  「異界!?なんでまたそんなとこに!?」

ユウナ  「バラライさんとヴェグナガンを追ってるんだと思う。」

ルブラン  「なるほど、ヴェグナガンを操る黒幕はバラライってわけだね。」

ユウナ  「そうじゃなくて、えっと・・・・・どこから話せばいいか・・・・・・。」

ルブラン  「だったらいいよ。まだるっこしい!

        おまえたち、異界に突撃だ!」

ウノー  「だ~っ!それだけは止めてください、お嬢。」

サノー  「俺らの手に負える相手じゃありませんよ。」

ルブラン  「そんなものはね、愛の力でどうとでもなるんだよ。

        ほれ!スピラを救いに行くよ!」

ユウナ  「は、はい。」

ルブラン  「そうと決まったら出発だ♪」

シンラ  「なんだろう、これ。

      通信っぽいけど、弱すぎるし。」

ユウナ  「どうしたの?」

シンラ  「穴に落としておいた通信スフィア。でも全然つながらないし。」

ルブラン  「な~にやってんだい、ちょっとおどき。」

そう言うと、ルブランは思いっきりシンラがいじっていた機械を殴った。

ルブラン  「ほ~ら、つながった♪」

通信スフィアの映像が流れた。

シンラ  「・・・・・信じられないし。」

映っていたのはギップルだった。

ギップル  「すげえ機械だぞ、これ。こんなのが広まったら世の中も変わっちまうな。

        これ作った奴、天才だ。」

シンラ  「わかる人にはわかるし。」

ご機嫌なシンラ。

ギップル  「その故障を修理した俺も天才ってか?誰か見てるか~?」

ギップルは手を振った。

ユウナ  「ギップルさん!」

シンラ  「こっちの声は届いてないし。」 

ギップル  「・・・反応なしか。」

残念そうに言うギップル。

ヌージ  「大した天才だ。」

ルブラン  「おまいさん!?」

映ったヌージに興奮するルブラン。

ヌージ  「もういいだろう、行こう。」

ギップル  「焦るなって。」

ヌージ  「怖気づいたか。」

ヌージの言葉に苦笑いを浮かべるギップル。

ギップル  「普通そうだろ。ヴェグナガンだぞ。どう戦えってんだ。

        つうか壊しに近づくと逃げちまうんだろ、あれ。」

ヌージ  「あるいは暴走するか。まあ、策はあるさ。」

ギップル  「通じなかったら?」

ヌージ  「死んで詫びるか。」

ギップル  「死にたがりが死んだって詫びにはならねえんだけど。

        ・・・・・・・・そういや、ルブランは?」

ヌージ  「あいつは・・・・・・・。」

映像はここで切れた。

ルブラン  「どーして切れるんだよ!

        最高に気になるところで、こんなのってアリかい!」

ルブランはひどく怒ってシンラにあたった。

シンラ  「仕方ないし。」

ルブラン  「なんだよ、こんなポンコツ。こうなったら直接聞きに行くよ!」

ルブランたちはそう言うと飛空挺を降りていった。

アニキ  「俺たちはどうする?」

ユウナ  「ヌージさんたちを手伝うよ。

       でも・・・・。

       その前にシューインと話したい。

       レンの想い、伝えたいんだ。きっとわかってくれる。」

ユウナはリュックとパインに訴えた。

リュック  「話しに行くだけでも大変そうだけど。」

パイン  「寺院の穴から飛び込めばいいさ。」

リュック  「今度は3人でね!」

リュックとパインは笑顔で答えた。

ユウナも笑って3人は手を合わせた。

シンラ  「ヴェグナガンの居場所は異界のずっと奥深く。

      突入するにはあの穴に飛び込むしかないし。」

ダチ  「穴っていうと・・・・。」

ユウナ  「ビサイドとキーリカ、それにジョゼの寺院だね。」

シンラ  「アンダーベベルにもヴェグナガンが開けた大穴があるし。」

リュック  「どこから行けばいいのかな。」

アニキ  「どこでもいい!気合一発飛び込むのみ!

       ユウナ!穴を決めろ!」

ユウナは頷き、アンダーベベルから飛び込むことにした。

アニキ  「よ~し、カモメ団、出発だ!

       飛空挺、発進!」

ベベルは戦いを望む者はいないが、青年同盟と違って、バラライの不在に不安を抱いていた。

寺院の前でマローダに会った。

マローダ  「よう。」

ユウナ  「こんにちは。

       マローダさんって、青年同盟ですよね。

       平気ですか、ここにいて?」

ユウナは辺りを見回しながら聞いた。

マローダ  「俺もいまだにビクついちまうんだけどな。

        ほれ。」

マローダの視線の先には人々に囲まれたイサールがいた。

マローダ  「ベベルが大変だってんで、ザナルカンドから駆けつけてよ。

        ま、そいつは兄貴の勝手なんだが、俺まで巻き込まれちまってよ。」

ユウナ  「一緒にベベルを守ってるんだ。」

マローダ  「ま、そういうわけだな。

        兄貴をほっとくわけにはいかねえし。」

マローダは照れくさそうに笑った。

するとパッセが走り寄ってきた。

パッセ  「なになに?なんのお話?」

マローダ  「「兄弟仲良く頑張ろう」っつう話だ。」

パッセは元気よく頷いた。

パッセ  「うん!じゃあね、ユウナ様!

      こども団、しゅっぱーつ!」

こども団  「おー!」

パッセの周りにたくさんの子供が集まって拳をあげた。

リュック  「なんか増えてる!?」

マローダ  「こども団どころか、こども軍団だ。」

マローダは苦笑いをした。

ユウナ  「みんな楽しそうだねえ。」

マローダ  「世の中っつうのは、こうやって変わってくのかもしんねえな。」

マローダは優しくパッセを見つめた。

リュック  「イサールも変わったし。」

マローダ  「いやあ、なんも変わってねえよ。

        真面目すぎる兄貴が面倒事をしょいこんで、俺らが苦労するっつうわけだ。」

リュック  「あたし、そういう人知ってるかも。」

パイン  「真面目すぎて面倒事をしょいこんで・・・・か。」

リュックとパインはユウナを見た。

ユウナ  「ああ、アニキさん?」

パイン  「ハズレ。」

あきれて言うパイン。

ユウナ  「ダチさん?」

まさかという顔のユウナ。

リュック  「違う。」

パイン  「さてリュック、そろそろ帰ろうか。」

リュック  「うん、行こ行こ!」

二人はあきれながら背を向けた。

ユウナ  「もう!教えてよ!」

ユウナは慌てて二人を追いかけた。


異界でギップルとヌージにもらったスフィアを持って、キノコ岩街道の洞窟に来た。

封印された扉をスフィアで開けた。

ここは・・・、アカギ隊の選抜試験があった場所。

ギップル、バラライ、ヌージだけが生き残った場所。

パインはふうっと息を吐いた。

パイン  「過去との対面だな。行こう。」

ユウナとリュックは頷いた。




中は真っ暗な洞窟だった。

幻光虫がたくさん浮いていた。

奥へ進むとリュックが叫んだ。

リュック  「なんか来るよ!?」

目の前に現れたのは、ギップル、バラライ、ヌージだった。

パイン  「みんな!」

3人の反応はない。

パイン  「あっ・・・・・。」

ふっと3人の姿が消えた。

ユウナ  「大丈夫!?」

かけよるユウナ。

パイン  「なんだったんだ・・・・?」

リュック  「死人・・・・のわけないか。」

ユウナ  「幻光虫。

       行ったことがあるの。

       ただよう幻光虫が人の想いを留めていつまでも残る場所。」

パイン  「ここに来た時の3人の想いが幻光虫に焼きついた・・・・・・幻?

      2年前の悪夢か・・・。」

パインは下を向いた。

シューイン  「もっと昔さ。」

気付くと目の前にシューインがいた。

ユウナ  「シューイン!?」

パイン  「こいつか!」

シューイン  「もう眠りたいのに幻光にとらわれてあの瞬間を、何度も何度も思い出してる。」

シューインはフッと消えるとリュックの後ろに現れた。

そして後ろから抱きしめるようにリュックを包み込んだ。

リュック  「いや・・・・・いや!」

振りほどこうとするリュック。

リュック  「いやー!」

ユウナ  「リュック!」

パイン  「様子がおかしい。近づくな!」

すると、今度はパインを包み込んだ。

パインも振りほどこうとしたが、シューインから出てきた幻光虫がパインの中に入るとすぐに目がすわった。

リュック  「来るなー!」

叫びと共にリュックもユウナに襲い掛かった。

パインもユウナに剣をむけた。

ユウナ  「なんなの!?」

シューイン  「君にも見える。」

そう言うとシューインはユウナの体も包み込んだ。


ユウナが見たのは、ヴェグナガン。

それを動かそうとするシューイン。

そこへレンがやってきた。

レン  「やめて!もういいの!」

シューインはレンに気付きすぐにレンの元へ駆け寄った。

そこで兵士たちが追っかけてくる。

シューインはレンと見つめあった。

そして、銃を向けられる二人。


ユウナ  「来ないで!」

シューイン  「僕らの物語さ、レン。」

シューインが近づいてくる。

ユウナ  「何度も言わせないで。レンじゃないってば!」

ユウナは銃を構えた。

シューインの笑い声が響いた。

そしてユウナはハッとする。

銃を向けていたのはパインだった。

3人でお互いを狙っていた。

ユウナは慌てて身を引いた。

しかし、リュックはうなりながらユウナに向かってきた。

ユウナ  「リュック?」

ユウナはリュックを殴って正気に戻した。

すると、パインもリュック同様にユウナに剣をむけた。

ユウナ  「しっかりしてよ!」

ユウナはパインを蹴り飛ばした。

その衝撃でパインも我にかえった。

3人は息を切らせながら立ち上がった。

リュック  「シューインってただの死人じゃない?」

パイン  「だろうな。

      1000年前、ああいう死に方をして、その時の想いが幻光虫と結びついた・・・・幻。」

ユウナ  「夢・・・・悪夢みたいなものだよ。」

リュック  「でもひとりでに動き出したんでしょ。・・・よっぽど悔しかったんだろうね。」

パイン  「触れた者の心を壊してしまうほどの絶望・・・・。そいつがアカギをつぶしたんだ。

      私たちと同じことが起こったんだ。

      ここでシューインの絶望に触れて、おかしくなってみんな死んだ。

      ・・・・殺しあったんだ!」

パインは唇を噛んだ。

するとシューインが笑いながら現れた。

シューイン  「でも、こいつらは生き延びた。

         だから使ってやったんだ。」

パイン  「きさま!なんてことを!」

パインが叫ぶとシューインは消えてしまった。

リュック  「とにかくさ、外に出ない?こんなとこ、いたくないよ!」

ユウナ  「そうだね。」




ユウナたちは外へ出た。

パイン  「シューインだったんだ。

      2年前、ヌージたちはここで幻を見て、ヴェグナガンの存在を知った。

      脱出してから話したんだ。その正体を突き止めようって。

      だけど・・・・ヌージがみんなを撃って・・・・。

      裏切られたと思ってた。

      でも・・・・ヌージじゃなかったんだ。シューインがヌージの体を使った。それだけのことだったんだ。」

ユウナ  「じゃあ、・・・・ヌージさん迎えに行こっか。」

ホッとした顔のパインに笑顔で手を差し伸べるユウナ。

パイン  「ああ、シューインから取り返す。」

パインも笑顔で答えた。

リュック  「ん?ちょっと待って。」

ユウナ  「なに?」

リュック  「ほら、アンダーベベルでさ、3人組が会ってたでしょ?

       あの時、ヌージの体から幻光虫がふわーっと出て、バラライの体にひゅーって入ってったよね。

       だから今はシューインってバラライにとりついてんじゃない?」

パイン  「あ・・・・。

      ・・・・・参りました。」

パインは笑って言った。

リュック  「ふふん。」

パイン  「じゃ、助けるのはバラライだな。

      ・・・・・悪いけど、手伝わせるよ。」

パインはユウナたちを見た。

ユウナ  「何を今更。」

リュック  「さんざん引っ張りまわしといて、ねえ。」

二人とも笑顔で答えた。

パイン  「・・・・・・ありがと。」

パインの顔は今までにないくらいに優しい笑顔だった。


エルマ  「ユウナ様~♪」

ユウナたちをルチルとエルマが迎えた。

エルマ  「行きましたよ、コンサート!

       すっごくよくって、感動したっす!」

ルチル  「おかげで、新エボン党との戦いも避けられそうです。」

エルマ  「コンサートに行った連中がみんなを説得して回ったんすよ。」

ユウナ  「そうですか。」

ユウナも一安心した。

ルチル  「ですが、同盟にはまだ力を持て余している者も多いのが現実です。

       彼らは、戦う機会がなくなったことを不満に思っているようです。」

エルマ  「暴れたがりが多くって。

       でも、ルチル隊長がいいこと考えたんすよ。

       「そんなに暴れたいんなら、武闘大会で力を見せろ」ってね。」

エルマはまるで自分が提案したかのように誇らしげに言った。

パイン  「面白そうだな。」

ルチル  「できることなら是非参加して頂きたいのですが、エボンと親しい者が参加すると大会が過熱する恐れがあります。」

ユウナ  「エボンの味方ってわけでもないんだけどな。」

エルマ  「それがわからない連中なんですよ~。」

エルマは申し訳なさそうに言った。

リュック  「勝手にやらせといた方がいいね。ユウナ、行こう。」

ユウナ  「うん、そうだね。」

ルチル  「申し訳ありません。」

ルチルとエルマはユウナに敬礼をすると本部に戻っていった。

二人と入れ替わりにヤイバルがやってきた。

ヤイバル  「ユウナ様の歌を聴いて、いろいろ考えさせられました。

        もし、エボン党と戦争になっていたら、スピラは二つに引き裂かれて、ユウナ様とも二度と会えなかったかもしれないんですね。

        実は、同盟の中に、まだ戦争を望んでいる者がいるんです。

        でも、なんとか止めてみせます。

        1000年前と同じ悲劇を繰り返すなんてたくさんですから。

        ユウナ様、見ててください。それでは!」

そう言うと、ヤイバルは去っていった。

リュック  「ちょっとかっこよくなかった?」

パイン  「かなり頼りないけどね。」

ユウナたちは笑った。

ユウナ  「彼のような人がもっと増えて、何かを変えてくれるかもしれない。

       そんな気がするんだ。」

ユウナたちはこれで安心だと確信して、ベベルに向かった。