涙の理由 そのゴ。 | crueleternity

crueleternity

要らないものだけ
此処に吐き捨てる

あたしの世界に
いつか光だけが降り注ぎますように

ただいま 










更紗が 


ママ、どうしたの 




ママ、どうしたの? 








また涙が溢れ出す。 










彼女と彼女の旦那さんの大切な人が 


自ら 命を 絶った ことを   伝え な が ら 






涙が 






更紗の目にも 


涙が。 











悲しい 
悔しい 






R327が居なくなるかも知れないと思ったら 



怖かった、と。 






更紗も 

R327が居なくなったら嫌だと泣いた。 










更紗はカウンセラーを目指している。 






死ね 
とか 

消えろ 
とか 

そういう言葉を 


よく聞くけど 






知らない人でもね 

亡くなったらこんなに悲しいんだね。 





そういって、泣きじゃくった。 














あたしは後悔がこみ上げて 






約束を果たせなかった彼女に電話をかけた。 
電話に出ない。 




嫌われてしまったのかも知れない 


怖かった。 



旦那さんに電話した。 


話しながらどんどん涙がこぼれてくる。 





大丈夫 

そう言ってくれたけど 

怖くて 


体中が震えた。 






その瞬間、 
キャッチで彼女から電話が入った。 
即出た。 





約束を守れなかったこと 

嫌われたかと思ったこと 

ろれつの回らない嗚咽まじりの声で 


ごめんね、しか、 
またいえなかった。 



彼女は 

気にしないで、そんなんで嫌いにならないから 
大丈夫だから、と 


あたしのごめんねを否定した。 


そんな言葉は要らないと。 



やっと笑えた。 

じゃあ、今度またね、と 


電話を切った。 










彼女との仲は大丈夫、と思えた。 






次はたまちゃんだ。 

たまちゃんに電話する。 




出ない。 








辛かった。 
ごめんなさいを伝えたかった。 





すぐに折り返しがかかってきた。 




同じようにごめんねを繰り返し、 



平気だよーと 
いつものテンションで言ってもらえた。 



また遊んでくれると、約束してくれた。 



ありがたかった。 






失わないで済んだ。 

















更紗が部屋に入ってきて 


涙目で僕とたまちゃんの会話を聞いていた。 


電話を切って 




お風呂に入ろうと準備しようと立ち上がったら 








その場で泣き崩れてしまった。 






娘の前で 
声を出して泣いた。 


更紗も大声で泣いていた。 







泣きながら準備して 


階段を降りたところで 


動けなくなった。 




泣くしか出来なかった。 






母が廊下まで出てきて 

これまた泣いている更紗とあたしを抱きしめてくれて 








いつものように 




ゆっくり呼吸して 

吸って 

吐いて 


吸って 

吐いて 



ポン と肩を叩いてくれる。 






そしてお風呂に入った。 




更紗は言った。 






学校で辛い思いをして、家に帰ってきて 





母も私も居ないとき 








ぽろぽろと涙をこぼし 








「包丁で死んじゃおうと思ったことが何回もあるの」 




「わたしに生きてて欲しいと思ってくれる人は誰も居ないと思ってたの」 

















抱きしめた。 




目と目を合わせて 





「アンタはママが、10ヶ月もお腹の中で 
守って守って、大切に守って」 







「お腹を痛めて、嫌になるくらいの痛さに耐えて」 









「更紗も頑張って」 

「更紗も生まれてきたくて頑張って」 




「二人で頑張って生まれてきたんだよ」 




「ママがおなかを痛めて産んだアンタに」 










生きて欲しいと思わないわけがないじゃない! 













ママも家族も友達も、 
みんなみんな、更紗に生きて欲しいと思ってる 




誰もが 

全員が 




アンタの死なんか 

望んでない!!!!!!! 





馬鹿を言うんじゃない! 






ママがあんたを守って産んだんだ 




親より先に死ぬなんて 

最低の親不孝だ! 



許さないからね! 









ぽろぽろと零れていた涙は 
やがて滝のように流れ 




ありがとう 

と 




つぶやいた。 









アンタが助けてきた 

Eちゃん 



これから 

アンタは 



たくさんの人の話を聞いてあげて 

たくさんの人の命を救うでしょう 



その助けられるはずの命まで 

失くすつもり? 














ママも。 
死にたいと思ったことは 
本当は何度もあるの。 



だけどね。 


もうそんなこと考えないって誓ったから。 
更紗にも誓うから。 





更紗が中学生になって 
更紗が高校生になって 
更紗が大学生になって 

好きな人を連れてきて 
結婚して 
ウエディングドレスを着てる姿を見て 

あなたが産むであろう子供を 




あたしは見届けるの。 



だからそこまであなたは生きていくの。 




生きるべきなの。 
ママも、生きるべきなの。 








ママは更紗よりも先に生まれたから 

きっとママが先に死んでしまうだろうけど 




更紗の生きていくところをずっと見ていくんだからね。 

約束だからね。 

















誓って、おやすみを言った。 
























あたしは生きていく。 
死ぬまで生きていく。 


助けて欲しいときには 
誰かに助けを求める。 
ひとりで悩まない。 












昨日と今日、 




全世界に向けて誓います。 
己に誓います。 









自ら命を絶つことを 























絶対にしないと。