前回に引き続きまたMalcolm Gladwellの著書です。
今回は彼の社会学系シリーズブーム火付け役となったデビュー作。
The Tipping point
Malcolm Gladwell著

ブームや犯罪の蔓延など、大きな社会的現象が起こる際の共通点は何なのでしょうか?
- アメリカでセサミストリートの人気が爆発したのはどうして?
- 犯罪が多い地域に他の犯罪が起こりやすくなるのはなぜ?
- 感染症が蔓延するのはたった少人数のせい?
この本が出版されたのは2000年と少々前なのですが、昨今のコロナの感染拡大にも当てはまっていて
今このご時世に読むことができてよかったです。
本書では、社会現象が爆発的に広がるためには、
まずはカリスマ的な少人数の個人の力が必要だといいます。
例で挙がっていたのは、
アメリカでの性病の拡大のtipping point。
性病は一人が数人に感染させる程度では蔓延するポイントまでいくのに不十分だそう。
ではどんな条件が必要か?
それは、何百人とも性的に関わり、さらに多くの都市を渡り歩くようなカリスマ的な一個人の存在なのだといいます。
それを裏付けるように、私の住むビクトリア州でも数人コロナウイルスに感染した程度では爆発的感染は見られず、数日で落ち着くようになっています。
さらに、Stickinessつまり頭から離れない中毒性も必要な条件といいます。
ウイルスで言えば感染力ですね。
子供番組セサミストリートやBlue's cluesは一週間に何度か同じ内容の放送を繰り返し、子供たちヘ内容を植え付けることで成功を収めています。
私達も、東日本大震災の時にACのこんにちワン、ありがとウサギ、ぽぽぽぽーん!を植え付けられるほど目にしたので忘れられないのではないでしょうか。
そして最後の条件は「コンテクストの力」。
周りの動きに合わせて自分の行動を決定する力です。
街中に落書きが多い地域では
もちろん犯罪のハードルが下がり、これぐらい大丈夫、とさらなる悪質な犯罪が増えるそうです。
つまり警察を増やすよりも、
小さな落書きを徹底的に撲滅していくことの方が犯罪率を効果的に下げられるのです。
私が興味深いと思ったのは、
殺人や犯罪の目撃者が多ければ多いほど通報する人が少なくなるという事実。
昔アメリカで30人以上の前で堂々と女性虐待が行われるというショッキングな事件があったそうですが、
みんな「誰かが通報する(した)だろう」と思い込み、
結局誰も通報することなくその女性は亡くなってしまったそう。
むしろ目撃者が少なかったほうが目撃に対する責任感が重くなるので、助かっていた可能性が高いのです。
たくさんの人の目に触れる事が大事なのではなく、コンテクスト(周りの動き)がいかに人間の行動を決定づけるかが分かります。
オススメ度★★★★★
英語難易度★★★☆☆