死んだ人間と生きた人間を会わせる仲介人を使者(ツナグ)という役目で表現し、命を題材とした深い作品として興味深く読んだ。
生と死はそれ自体全く異なる空間や世界で構成され、いや実際には何もない可能性も十分あるが、自身が一応仏教の為、仏を敬う心からまずは異なる場所や時間に死者の魂は存在すると仮定する。

この物語は生きる者が会いたいと懇願する死者への面会をツナグへ依頼する。
もちろんツナグという役割が存在する事は都市伝説のようなものであり実際の連絡先などは相当な時間をかけないと辿り着けない、つまりは心底会いたい死者がいる場合でないと難しい。
この依頼と許諾に関しては一定のルールがあり、まず依頼者は一生に一度しか会えない、そして死者はツナグから連絡を受け、死者もまた一人だけ一度きり会えるというシステム。
おそらく死者は一度会うと成仏するという理解で読み進めたが、その一度をこの依頼者でいいのか、あるいはツナグの存在自体は公ではないのだから今後もう依頼などないのでは、などと自らの希望をかね合わせて判断を行う意思決定がある。

自分の憧れの人、本音を生前言えなかった人、友でありライバルであった人、そして愛する人。
色んな形があるが、結果として幸せな結論が用意され、生きる者の前進を促すものだけではなく、一生の悔いを残すような結果も描かれている。

そしてツナグ自身がどのように代々受け継がれ、どのような能力が必要なのか、その際にどのような注意や心積もりを必要とするのか。
また、ツナグという役目はどのような人間を見ていくのか。
それらを読み解く際、この役目の難しさや心の変化、さらには近くにいる人の理解や相手を思いやる愛情が時には残酷な結果を生むことも考えさせられる。

スピリチュアルな内容が好みという訳ではないが、生死や時間間隔、そして会えるラストチャンスという場で何を共鳴するのかを面白く考えながら読めた作品だった。

ツナグ (新潮文庫)/新潮社

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