下町ロケット。池井戸作品の直木賞受賞作、代表作と言っても良いと思う。

作品名をそのままイメージするならば、下町の工場が熟練の技術でロケットを作るという内容だと考えるが、実際物語りとしては、そのロケットのコアとなるバルブを開発しその特許をめぐって展開される。

主人公は元研究員で中小企業の社長である。
父から会社を継ぎ、業績を順調に上げ、昔ながらの日本企業が誇るものづくりへのこだわりが非常に豊かに描かれている。

その後巻き起こる、得意先からの受注減、競合他社からの訴訟、そして大企業からのライセンス供与提案。
苦境に立たされながらも、訴訟に勝利しキャッシュも潤沢になるが、会社の方向性を社員が議論できる風通しのよさなど社長の人柄形成や真の強さ、そして右往左往しながらのチャレンジ精神を想像し、食い入るように読みきってしまった。

特に、中小企業が大企業に対して技術的優位性をもってものづくりに挑戦していく様は痛快だ。
高度経済成長を歩んできた日本企業によるものづくり精神の強さ、あくなき技術の追求、そして愚直なまでの前進力。

各所で妥協してしまうであろう条件を断り続け、あくなき努力を継続し、そしてまた次世代へのチャレンジを続ける。
数年前まで日本企業、特に製造業はコスト至上主義が明確で海外への進出を行ってきた。
しかしながら、円安基調の影響はあるものの、やはり日本の技術立国をもう一度立て直したい、そして日本の品質を高めたいと考える企業も増えてきている。

この作品に見出されるものがあるとすれば、精神性を再度見直し、後世への誇りを踏まえチャレンジしていく強さを指摘されているように思う。

下町ロケット (小学館文庫)/小学館

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