このブログもめでたく第10回を迎えることができた。
今回は、川園樹氏による『未来を変える「外見戦略」』(KADOKAWA)を
ご紹介していきたい。
もともと私は、「ファッション」に非常に疎いのであるが、この書籍を読んだ後は、
その重要性がひしひしと伝わってきて大変勉強になった。
まず、アメリカでの1960年の大統領選挙における、ニクソン候補とケネディ候補との
選挙戦の例が取り上げられていて興味深い。人々に対して、ファッションの与える
影響というものがいかに大きいかを、私は学ぶことができた。
当時、多くの政治評論家がニクソン候補の勝利を確信していた。しかし、テレビ討論
における両候補のファッションの差が、選挙戦の明暗を分ける結果となったのである。
すなわち、テレビ画面に映し出されたニクソン候補の服装は、「グレーのスーツ、
白のシャツ、単色で薄めのカラーのネクタイ。体系にフィットしないブカブカの
スーツ」という、テレビに映し出された際にどうしてもマイナスの印象を与えてしまう
ものであったのに対して、ケネディ候補のそれは、「濃紺のスーツ、薄水色のシャツ、
赤と青のストライプのネクタイ、ポケットチーフ。体型にフィットしたスーツ」という、
いかにもパワフルで魅力あふれるものであった。
言葉でご説明するよりも、本書に描かれている、椅子に腰掛けた二人の当時の
絵をご覧いただいた方が早いとも思う。ニクソン候補はあまり冴えない見栄えで
あるのに比べて、ケネディ候補は、堂々として力強さにあふれ、いかにも大統領
としての職務を全うしてくれそうな雰囲気を醸し出している。
結果として、テレビ視聴者の好印象を得たケネディ候補が勝利したのであった。
ところで、「心の状態が服選びに影響する」という著者の主張もまた非常に興味
深い。
心が沈んで暗い状況で服を購入しようとすると、その心境を反映した暗い服装を
選んでしまうものである。反対に、活力にあふれ、気持ちが前向きな時に服を
購入すると自信たっぷりに見える服を購入することができる。
さらに、体型にフィットしないブカブカのスーツを着用すると、明らかに印象は良くない
と川園氏は述べている。それよりも、体型にジャストフィットした、ジャケット・パンツ
ともに上下揃って美しいシルエットに見えるものを購入することが大切であるといった
ことも仰っている。
また本書では、「顔つきの印象をよくするための戦略的な眼鏡の用い方」や、「相手
より優位に立てる握手の仕方」など、タメになることが数多く取り上げられている。
対人関係を、服装や小物によってよりよくしていきたいとお考えの方や、私と同様
ファッションに全然詳しくない方には、この著書がとても素晴らしい教科書になるに
違いないと私は思う。