私の直接の上司、トムにはセクハラの傾向があった。私に直接迫ってきたわけではないが、親密度の高い質問をしてきたり、体が触れる位置にわざと座ったりと、居心地を悪くさせる行動が続いた。同僚の話からすると、トムのセクハラ行動は他の女性社員数人にも及んでいるということだった。我慢しきれず、とうとう部長格のトムの上司に報告した。その後、部長はトムと話してくれたようで、トムのセクハラ行動はぴったりと止まった。実際おかしな話なのかもしれないが、セクハラを除いてみるとトムは実に良い上司だった。指導が上手で、いろいろなコツと技術を説明しながら教えてくれた。トムの指導のお陰で仕事が楽しかった。また、トムは普段は人を見下すことが多かったが、私に対しては尊敬の意を示してくれていた。仕事の分担の仕方や私の担当した仕事の評定によってそれは明らかだった。つまり私におもしろい仕事を回してくれたのだ。おもしろい仕事は目立つものが多かったため、良い仕事をすると私の評定も必然的に高くなった。私が個人的な事情で困ったときは、わざわざ自分の財産を犠牲にしてまで助けてくれることを提案した。さすがにそれは丁寧に断ったのだが、真の友情を確信できたようで嬉しかった。