sei様とのコラボ~愛しき娘のいる場所は(20-6)~ | ななちのブログ

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馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「彼女の想いを、俺は知らない。」

 

 再会の約束をした時、嬉しそうに微笑んでいたけれど。

 その微笑みは、友人に対する親愛以上のものが含まれていたのかは甚だ疑わしい。

 そもそも、幼い少女だったのだ。

 クオンの約束を取り付ける言葉を、どう捉えたのかは分からない。

 

 そして今、彼女が一体何を考えているのかも、分からないのだ。

 

「彼女の、想いが知りたいのかい?」

「…………そう、だな………。」

 

 鶏に確認をされて、それに対して考え込む。

 

「彼女の、想いを尊重できるかは、自信がないけれど………。」

 

 もし、拒絶されたら。

 クオンの、狂いそうなほどに膨れ上がった、少女への想いが受け入れられなければ、どうなってしまうのか。

 

 ……過去の愚かなる王たちは、そんな乙女たちを閉じ込め、ニ度と表舞台に立てぬようにしたてあげ、たった独りで愛で続けたという話を、聞いたことがある……

 

 愚かしいと思う一方で、魅力的な話に思えた。

 それが正常な考えでないことは分かった上で、一瞬のこととはいえ甘美な物語に聞こえてしまった自分自身を、ずっと隠して生きてきた。

 

 クオンには、その愚王と同じ、狂気が小さく燻っている。

 

 だから、きっとキョーコに拒絶されてもひたすら彼女を求めるだろう。

 そして、タカラダに始末されて終わるのだ。

 

 ―――でも。それで、いいのかもしれない……―――

 

「彼女の、本当の言葉が聞きたい。」

 

 聞いて。

 そして、不毛な想いの決着をつけるべきなのだ。

 

「……そんなに、会いたいんだね?話が、したいんだね?」

 

 優しい少年の声が聞こえる。

 それに、クオンは導かれるかのように肯いた。

 

「彼女に、会って。話をしなければ。……俺は、どこに行くこともできない。」

 

 前に進むことも、後ろを振り向くこともできない。

 

「どこにいるのか分からないけれど。……会ったら最後、殺されてしまうかもしれないけれど。」

 

 無事に会えても、拒絶をされれば、もはや死しかないのだろう。

 

 どんな手を使ってでも、クオンはキョーコが欲しい。

 それに対して、タカラダ家はどんな手を使ってでも、キョーコを守ろうとするだろう。

 その先には、クオンの死以外に道はない。

 

―――それで、いい。……いや、それが、いいんだ。―――

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