魔王のお見合い! 第七十話『戦い勃発!』
「これが・・・魚になれる薬・・・」
「そうじゃ。」
物語は佳境にさしかかっていた。
ポニョリータが魔女の老婆に薬をもらうシーン。
守桜は緊張のためか、魔王の手を強く握りしめている。
(守桜さんの手・・・柔らかい・・・)
魔王が興奮していることなど気付かずに、守桜はスクリーンに見入っていた。
・・・
「さて、どこにいるのかしら。」
フューとジョンは迷っていた。
今いる映画館、『シネマ・ビッグ』はその名の通り、七つの上映会場を有している日本最大級の映画館である。
当然人間の数も多く、魔王を探すのは困難であった。
「どうしたの?氷神?」
フューたちがうろうろしていると、突然後ろから声がした。
二人が振り向くと、一人の女子高生が毅然とした様子で立っている。
敵意剥き出しの“それ”を見たジョンがフューの前に、盾になるように割り込む。
「受付の人、倒れてたけど。」
「ああ、少し凍らせていただきましたの。『お金がなければ入れません』って言うものだから。」
「ふうん。救急車呼んだけど。・・・氷神って野蛮なのね。」
「あなた・・・名前は?」
「ミク=ブラッディ。魔王様の『婚約者』よ。」
ミクが『婚約者』と言った瞬間、フューの眉が吊り上がった。
「ブラッディ・・・。吸血鬼ね。吸血鬼ごときが楯突くの。」
「『ごとき』かどうか試してみる?『元』婚約者。」
「・・・なまいき!」
フューが怒りの形相を浮かべ、ミクへ向かっていった。
↑↑書籍化目指してます!クリックおねがいします!!