そもそも、最初にビルメン(ビルメンテナンス)の仕事を目指そうと思ったとき、最初に立ちはだかったのが「資格」の壁だった。
職業安定所でも、職業訓練校の面接でも、資格の保有については何度も聞かれた。
前にも書いたが、いわゆる「ビルメン4点セット」や「5点セット」と呼ばれる国家資格があり、それらを持っているかどうかが重要視される世界である。
当時の自分は無資格で、正直「本当にこんな資格、取れるんだろうか…」という自信のなさがあった。
もし独学で挑戦していたら、途中で挫折していたかもしれない。
でも、訓練校で仲間と一緒に学ぶ環境があったことで、何とか乗り越えられた気がする。
そう思うと、少し時間を使ってでも学校に通ったのは、やはり正解だったのかもしれない。
そして気がつけば、次々と資格を取得し、とうとう最後の砦となった「第三種冷凍機械責任者」の試験を残すのみとなった。
この試験、厄介なことに年に1回しかチャンスがない。
一度逃すと、また1年後…。それは避けたかったので、迷いつつも受験を決めた。
今回も、いつもの勉強法――エビングハウスの忘却曲線を意識した反復学習をベースに、まずはテキストをしっかり読み込むところからスタートした。
参考にしたのは「ユーキャンの 第3種冷凍機械責任者 合格テキスト&問題集」。
最初に覚えておくべきは「冷凍の原理」だ。
ビルメンの仕事では、建物の規模によって空調設備の管理も行うことがあり、チラーやターボ冷凍機といった機器を扱うため、この知識は現場でも役立つ。
とはいえ、これまで取得してきた資格と比べると、やや難易度が高めに感じた(※個人の感想です)。
実際の試験では、見たことのないような問題が次々に出てきて、「本当に理解してないと無理だな…」と思わされた。
試験終了後には公式サイトに解答が公開されるので、自己採点ができる。
ただ、記憶が曖昧な箇所も多く、結果を見るまではまったく気が抜けなかった。
それでも、なんとか無事に合格。
これで念願の「ビルメン5点セット」がついに揃った!
……とはいえ、だから何だ、という気もしなくもないが(笑)、この業界では資格保有を推奨している会社が多く、やはり武器にはなる。
ちなみに、会社によっては資格手当が支給されるところもある。
一方で、「資格は取れ」と言われても、手当は一切出ない会社もある。
だったら手当がある会社の方が良さそうに思えるが、実際には年収ベースで見ても大差ないということもある(これも個人の見解)。
ビルメンテナンス業務は、設備の保守管理に加え、清掃や警備なども含まれる。
建物の維持管理を担う、言わば縁の下の力持ち的な存在だが、サービス業に分類されることが多い。
ちなみに、とある地域の調査では、**「正社員の人手不足」率が最も高いのがこの業種(メンテナンス・警備・検査)で、90.5%**という結果も出ている。
非正規雇用でも約7割が人手不足と答えており、非常に厳しい状況だ。
知識や技術が求められる職種でありながら、それに見合う報酬が得られていないのが現実。
そのため、離職者も少なくない。
物価は上がる一方、最低賃金の改善は追いつかず――
このあたり、業界全体で見直していくべきじゃないかと、切実に思う。
