パーソナリティ障害の人にとって、許すこととは

【弁証法的行動療法①】

 

 

 こんにちはヒデです。今日は、パーソナリティ障害の方が少しでも、wellness(元気=いい感じで自分らしく生きる)になるための心理療法である弁証法的行動療法(DBT)をご紹介します。今回は、その中でも、パーソナリティ障害の方に限らず、万人にとって大切な考え方である徹底的受容(radical acceptance)についてお話します。そして、最後に「許すこと」について考えてみます。

 

 

 徹底的受容(radical acceptance)とは、何か困難な出来事が起こっても価値判断しません。困難な出来事を、嫌悪したり、憎しんだり、嘆いたり、怒ったり、悲しんだりしません。

※【これは私の以前書いた「メタ認知療法」のブログでも紹介された。ACT(acceptance and commitment therapy)の考え方に近いです。詳しく知りたい方は読んでいただけると幸いです

 

 

 

 (ちなみに、注意しておきたいことは、何でもかんでも受容すればいいものではありません。他者の悪い言動の容認はしないということです。ここが徹底的受容の難しいところだと私は思っています。)

 

 

 そして、とにかく自己批判しません。状況を認めて受け入れます。過去は変えられないと理解するのです。決して簡単なことではないと思いますが、自分を許して、自分にやさしくしてあげることが大切なのかもしれません。

 

 

 パーソナリティ障害の方に限らず、生きづらさを抱えた人は、過去の苦しい経験を何度も何度も思い返して、自分を何度も何度も批判して、責めてしまう方がいらっしゃいます。

 

 

 パーソナリティ障害の方は、こうした記憶から圧倒されるような感情(overwhelming emotion)に巻き込まれてしまいます。その苦しみの感情は、自分の内面で反復され、増幅されていきます。そして、苦しさから自傷行為につながったりします。

 

 

 弁証法的行動療法でも、平安の祈り(serenity prayer)が大切だと言われています。

 

 

 「変えられないものを受け入れる平静、変えられるものを変える勇気、それを見分ける知恵」が大事だと言われています。

 

 

 何度も繰り返しお話しますが、変えられないものは、(変に価値判断したり、自己批判しないで)受け入れることが、大切なことなのかもしれません。

 

 

 ただ、自分を批判しないこと。自分を責めないこと。自分を怒らないこと。

     自分を貶めないこと。自分を傷つけないこと。

 

 

 これらのことを直ぐに治せるとは限りません。

 

 

 自分を受容することは、自分を許すことにつながるかもしれません。それは、私たちの小さい頃からの様々な体験が影響して、決して簡単なことではないかもしれません。簡単に自分を受容して、許せていたら、こんなに苦しんでいませんよね。

 

 

 徹底的受容をすることは簡単なことではありません。でも、自分や、変えられないことを受容してあげることが大事だと知るだけでも、あなたの心に目に見えないような微かな変化が起こっているかもしれません。

 

 

 無理やり、受容しなきゃダメだとか、許さなきゃダメだとか、変わらなきゃダメだとか考えること自体が、自分にやさしくしていないのかもしれません。苦しみがあるから早く楽になりたいと焦る人もいるでしょう。

 

 

  

 人は、生きていく中で、様々な体験をして、目に見えない微かな変化を起こしています。皆さん、それぞれのペースで変化していきますので、決して他人のペースで変化を強制されるものでもないでしょう。

 

 

 いつか、あなたの、その見えない微かな変化が積み重なって、ある日、自分や、変えられないものを受容して、許せる日が来ると思います。

 

 

 

 

 

 

フォローしてね…