うつ病の人が知っておきたい療法

 

 

 お久しぶりです。ヒデです。本日は、うつ病の人が楽になるヒントについてお話します。メタ認知療法(MCT)という心理療法を知っていますか?うつ病の人やうつ病を予防したい人にとって、メタ認知療法(MCT)について知っておくと、少しお得になるかもしれません。

 

 

 メタ認知療法は、英語でmetacognitive therapy:MCTと言います。認知行動療法(CBT)なら知っている人も多いかと思われますが、メタ認知療法も認知療法の一種です。20年ぐらい前から研究が進んでいます。

 

 

 物凄く簡単に言うと、うつ病になる人の要因の一つには、反芻や心配などを過度に繰り返すので、そこを改善しましょう、ということです。

 

 

 例えば、上司に怒られて「自分はダメな奴だ」と思うことは、一般的な人でもありえる考え方です。うつ病になりやすい人が一般的な人と違うところは、そうしたことがあると、四六時中「自分はダメな奴だ」と過度に繰り返し反芻したり心配するところなんです。

 

 

 一般的な人は自分を一時的に責めることはしますが、しばらくすると気にしません。ネガティブなことを忘れてしまいます。しかし、うつ病になりやすい人は、四六時中、自分を責めます。何かあると、しつこいほど自分を責めてしまい、長時間に渡ってネガティブの感情に巻き込まれていきます。それでは苦しいはずです。

 

 

 そこで、メタ認知療法では、そもそも、あなたが繰り返し反芻したり心配することに何かメリットがあるのか問います。この辺は認知行動療法に似ている気もします。そうして、メタ的な部分の自分の考え方を変化させていきます。そういえば、自分は過度な反芻や心配をし過ぎていたな、とメタ的に気づくことでも大分救われる人がいます。

 

 

 それともう一つは、ディタッチト・マインドフルネス(DM)という技法を用います。これは、ACT(acceptance and commitment therapy)の考え方に近いです(メタ認知療法と合わせてACTの関連本も読むと理解が深まります)

 

 

 誤解を恐れず簡単に言うと、自分の浮かんだ否定的な考え方はあくまで妄想であって現実に起こっている訳ではないんです。例えば、明日、上司に怒られるかもしれないと考えても、今、考えている時点で現実には起こっていません。勝手に妄想して未来のことを先取りして実感しているだけなんです。

 

 

 だから、否定的な考えが浮かんでも、勝手に、大丈夫かなとか嫌だなとか、価値判断しないで、客観的に距離をとりましょう、自分の考えを客観的に観察しましょうという考え方です。

 

 

 ここで、否定的な考えが浮かんでも、否定的な考えを消そうとか思わないのがポイントです。人は、忘れよう忘れようとか、考えたくないとか思えば思うほど忘れられないことが多いです。

 

 

 シロクマの実験があります。今から3分間、シロクマのことを一切考えないで下さい。映像も思い浮かべないで下さい。はい、スタート!

 

 

 という実験をやると、多くの人が、考えてはダメだと言われたシロクマを思い浮かべてしまいます。あなたはどうでしたか?

 

 

 人は、考えないようにすればするほど、そこに意識が行ってしまい、考えてしまうんですね。

 

 

 森田療法でも、認知行動療法でも似たような考え方をします。森田療法では、精神交互作用といって、症状をなくそうと思えば思うほど、症状に意識がいってしまいかえって悪化してしまうことを指摘しています。

 

 

 また認知行動療法では、例えば、不安感が起こる場所を回避すればするほど、その場所でかえって不安感が起きやすいことを指摘しています。(それに対する療法が暴露療法です)

 

 

 だから、否定的な考えが浮かんでも、回避したり排除しないで、客観的に観察する、という考え方が最近の心理療法のトレンドになっているのです。

 

 

 本日はメタ認知療法についてご紹介しました。詳しく知りたい方は、日本評論社から出版されている『メタ認知療法』(エイドリアン・ウェルズ/訳・熊野宏明ほか)がお勧めです。

 

 それではまたお会いしましょうビックリマーク

 

 

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