正直言って、

母が亡くなった時に、遺品の整理で見たくらいだった。

 

それまでは開こうとはしなかったし

生まれた時から母だったから、

母がどういった女性であったか……を考えることは

ほとんど無かった。

 

亡くなってから

過去のアルバムを見つけて

それから女性としてどんな生き方をしてきたのか……

 

結婚前の母のことを知りたくなったし

なぜ生きているうちに

そういう話をできなかったのだろうと

 

後悔したものでした。

 

 

 

 

 

 

 

亡くなってからは

今度は逆に

 

思い出すのが辛くて

あえて見ない、知らない、知ろうとしないようにしていました。

 

……だって、本人はいないですからね。

本人しかわからないことは、わからないですからね。

 

母娘ではなく

同じ女性として

話してみたかった。

 

 

 

 

 

 

 

アルバムを整理していた父に聞いた。

「ねぇ、父さん。

母さんとはお見合いだったけど……この人と結婚するって感じた?」

 

 

 

父は即答だった。

「あぁ。そうだよ。この人だと思ったよ。」

 

私にとっては意外な答えだった。

「え?お見合いなのに?この人って?

それは紹介だからとか、断れないからとかじゃなくて……?」

 

 

父は笑いながら続けた。

「だって、そんなの当たり前だろ。

別にかっこがどうだの美人だのなんて考えなかったし

自分に合う人かどうかなんて、会ってすぐに分かるだろ?

 

だから俺は、会ったその日に、決めたんだ。」

 

 

 

 

 

 

……父、よくわからないけど、すごい。

 

母に聞いたことはないけど

 

母もそう思った(考えた?感じた?)のだろうか。