『脳卒中麻痺からの生還 奇跡の復活』の著者の堀尾憲市さんに

私がパーソナリティをしているインターネットラジオの番組あたりまえの世界に

出演いただきました。

(一番下に5月6日の放送のアーカイブスのリンクが貼ってあります)

 

堀尾さんは、ご自分が脳卒中になって回復された経験を

本にし、全国の脳卒中の方にご自分の経験を伝えておられます。

 

 

    

脳卒中とは・・

脳卒中は脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳細胞の壊死を生ずる疾患。平成29年の統計(厚生労働省)では年間約11万人が脳血管疾患で死亡し、悪性新生物(腫瘍)、心疾患、肺炎に次いでわが国の死因第4位となっています。年間約30万人が新たに脳卒中となり、脳卒中患者数は約118万人。

 

 

 

今日のブログでは、

Youtubeの脳科学者のララ・ボイドさんという方の

講演の文字起こしを紹介します。

堀尾さんの本の内容とリンクすると思ったので・・

 

 

ララ・ボイドさんは、講演の中で、

成人になっても脳は再構築されると断言されています!

しかし、脳卒中から脳を回復させるのは非常に厳しく、理由は

効果的なリハビリ介入の開発が進んでいないと。

そして、回復の一番の原動力となるのは本人の行動で、

肝心なのは行動と練習の量だそうです。

 

 

 

そう考えると、堀尾さんが、体験を元に教えている手法は何より有効で

脳科学者も驚く内容かもしれません。

 

でも、堀尾さんは、自分のことを信じてくれないと

絶対良くならないともおっしゃってました。


 

きっとこれをやれば、誰もが良くなるというものなんて

ないのだと思います。

いくら環境が整っても、自分軸がなければ回復しないのでは?

 

自分軸は、自分にしか立てることはできない。

自分で能動的に行動するために、

ボボ・ライドさんのような脳科学者の話、

堀尾さんのような方の体験談などを知ることも良いのではないでしょうか。

 

堀尾さんは医者ではないから信用できないとか、

西洋医学は信用できないとか、

自分のこれまでの考えで

条件反射でシャッターを下ろすのではなく、

柔軟に考え行動するのが大事だと思います。

 

 

厳密にいうと正解なんて誰にもわかりません。

そう考えると、難しいことは考えず

とにかくプラス思考で前向きであることが基本だと思いますが。

 

 

 

 

↑字幕はありますが、文字起こししました。↓

(頑張って文字起こししましたが、

いっぱい字がありすぎて読みづらい😭

時間のある方は、動画を見た方が良いです。)

 

学び方について考えましょう。

容易に学べる人とそうでない人がいるのはなぜでしょう?

私はララ・ボイドと申します。

ここブリティッシュ・コロンビア大学で脳の研究をしています。

学びについての疑問に大いに関心があります。

 

脳を扱うのは重要な最先端研究ですが

それは人間の整理を理解することでもあり

何が自己を規定するのか探求することでもあります。

 

脳に感する知見は驚異的な速度で変化しつつあります。

同時に過去に得られたはずの脳に関する知見の多くが

間違いか不完全であることが判明しています。

 

誤解の中でも顕著なものの例を挙げましょう。

例えば以前の常識では

小児期を過ぎた脳は変化せず

変化させようがないと言われていました。

 

今ではその考えは全くの見当違いでとわかっています。

 

脳に関する誤解のもう1つの例は

脳の中で常時使われているのは一部でしかなく

何もしていない時の脳は休止状態ということです。

これも事実ではありません。

休息をとっている時や何も考えていない時でさえ脳は非常に活発なのです。

MRIのような技術の進歩でこうした多くの重要な発見が可能となりました。

 

そしておそらく最も刺激的で革新的な発見は

「新しい事実やスキルを学ぶごとに脳が変わる」ということです。

 

これを神経可塑性といいます。

 

ほんの25年前まで思春期以降の脳には

ネガティブな変化しか起きないと考えられていました。

 

加齢や脳卒中などの後に残る損傷によって

脳の神経細胞が減少するからです。

ところが研究によって成人の脳にも

著しい再構築が生じることがわかってきました。

 

その後の研究では私たちの行動すべてが

脳を変えることがわかったのです。

しかもこうした変化が年齢に限定されないなんて

実に素晴らしいですよね?

 

実際のところ脳は常に変化しています。

そして特に重要なのは

脳の再構築は損傷を負った後の

脳の回復を助けるということです。

 

こうした神経の鍵となるのが神経可塑性です。

具体的に何が起きているのでしょう?

脳が学習を形成する際の変化の仕方には

ごく基本的な3種類があります。

 

第1は化学的な変化です。

脳はニューロンと呼ばれる神経細胞の間で

化学的なシグナルが伝達されることによって機能しますが

これが一連の反応の引き金となります。

ですから脳は学習を形成するために

神経細胞の間隙に起きるこの化学的シグナルの濃度を上げるのです。

この変化が迅速に起きるからこそ短期記憶が可能となり

短期的な運動スキルの向上が可能になります。

脳が学習を形成する際の変化の仕方として2つ目は構造的な変化です。

 

学習の過程で脳はニューロン間の統合のあり方を変えます。

つまり脳の物理的な構造が実際に変わるわけですから

この変化には少し時間がかかります。

こうしたタイプの変化は長期記憶や

長期的な運動スキルの向上に関係しています。

 

こうしたプロセスが相互作用する例を挙げてみましょう。

みなさんも新しい運動スキルを獲得しようとしたことがあるでしょう。

ピアノを弾くとか・・

たった1回のレッスンのうちにぐんぐん上達して

「できた」と思った経験がおありでしょう。

ところが翌日には前日に得た進歩はすっかり消えていたりします。

何が起きたのでしょう?

脳は短期間のうちにニューロン間の

化学的なシグナルを増やすことはできたのですが

わけあって構造的な変化には至らなかったのです。

長期記憶の形成には構造的変化が不可欠です。

それには時間が必要でしたね?

短時間に起きたことは学習とは言わないのです。

物理的な変化が起きて初めて長期記憶が形成されていきます。

化学的な変化は短期記憶の段階の話です。

構造的変化は学習のために協働する脳の各領域を結ぶ

ネットワークの形成にも繋がります。

またある非常に特殊な行動をする際に

その行動にとって重要な特定の領域において

構造的変化や領域の拡大が生じることがあります。

 

例を示します。

点字を読む人の脳の

手指の間隔領域は点字を読まない人より大きいのです。

利き手の運動野は右利きなら左半球ですが

反対側より大きくなっています。

ロンドンのタクシー運転手を調べた研究によると

タクシー免許を取るために

街の地図を覚えなければならない彼らの脳では

空間的あるいは地誌的記憶を司る領域が大きいことがわかっています。

 

学習を形成するために脳に起きる変化の3つ目は機能的な変化です。

ある脳の領域を使ううちに

その領域は興奮が起きやすくなりどんどん使いやすくなります。

そうやって興奮性の高い領域ができると

脳はその領域が活性化するための条件を変えるのです。

学習することで脳の活動のネットワーク全体が変遷を繰り返します。

つまり神経可塑性は化学的・構造的・機能的な変化に支えられており

その変化は脳全体で起きているのです。

 

変化は単独でも生じますがほとんどは呼応しあって起きます。

全体で学習を形成するわけです。

そして変化は絶えず生じています。

ここまで脳は素晴らしく可塑的なのだといいう話をしてきました。

ではなぜやろうとしても簡単に学習できないのでしょう?

なぜ子供たちの成績が振るわないことがあるのでしょう?

なぜ年をとるごとに忘れっぽくなるのでしょう?

なぜ脳の損傷は完全に回復しないのでしょう?

つまり神経可塑性を制限あるいは促進する要因は何かということです。

 

それこそが私の研究テーマです。

 

具体的には神経可塑性が

脳卒中の回復にどう関わるか研究しています。

脳卒中による死亡はアメリカの主な死因として

3番目に多かったのですが近年減少し4番目になりました。

素晴らしいニュースですよね。

しかし実際のところ脳卒中の発症件数自体は減っていません。

重い脳卒中の後、命が助かるようになってきただけです。

 

脳卒中から脳を回復させるのは非常に厳しいことがわかっています。

率直に言えば効果的なリハビリ介入の開発が進んでいないのです。

 

この結果、脳卒中は世界的に見ても

成人の長期にわたる身体障害の主な要因となっています。

若年で脳卒中を発症すれば

障害とともに生きる期間が長くなります。

 

私のチームは脳卒中を患ったカナダ人を調査し

健康関連の生活の質が低下しているという結果を示しました。

脳卒中からの回復を促すという点で改善の必要があるのは明らかです。

これは途方もなく大きな社会問題でありながら

解決に至っていません。

 

では何ができるでしょうか?

1つはあまりにも明白です。

神経可塑性による変化で一番の原動力となるのは本人の行動です。

そして肝心なのは行動と練習の量です。

 

新しい運動スキルの学習や以前学んだスキルの再学習には

膨大な練習量が必要です。

いかに効果的に多くの練習量を確保するかは

大変難しく負担の大きい問題でもあります。

私が研究で取り組んでいるのは学習に備えて脳に学ぶ用意をさせるような

治療法の開発でそこには脳のシミュレーションや運動野ロボット工学が含まれます。

しかし研究を通じて脳卒中からの回復を早める治療法を

開発する上で研究の限界として立ちはだかるのは

神経可塑性のパターンに個人差が大きいということです。

研究者である私はかつて個人差を非常に厄介だと思っていました。

統計を利用する上でデータやアイディアの検証が

とても困難になるためです。

この理由から医学的な介入研究は

とりわけ個人差を最小化するべくデザインされるのです。

しかし私の研究で実に明白になってきたのは

私たちが得た最も重要で有益なデータに

個人差が表れているということです。

脳卒中を起こした脳の研究から私たちは多くを学びました。

ここでの教訓は他の分野でも大いに役立つと思います。

教訓の1つ目は脳の変化を起こす主体はその人の行動だということです。

薬剤で神経可塑性をどうこうすることはできません。

学ぶためには練習が何より効果的であり要するに自分がやるしかないのです。

事実私の研究では練習の過程で難度が上がったり

一層の努力が必要になると脳ではより多くの学びが起き

より多くの構造的変化が起きることがわかっています。

問題は神経可塑性が双刃の剣であることです。

プラスの側面は新しいことを学ぶことや運動スキルに磨きをかけることです。

 

ただネガティブな側面もあり知っているはずのことを忘れたり

薬物に依存するようになったり

慢性的な痛みをもたらすことがあります。

脳というのは恐ろしく柔軟であなたが何をしてもしなくても

その全てが構造的・機能的な変化に影響するのです。

 

脳について私たちが学んだ2つ目の教訓は

万能な学習アプローチは存在しないということです。

学ぶためのレシピはありません。世の通説では1万時間練習すると

新しい運動スキルを学習し熟達できるなどと言いますが断言しましょう。

そんな単純な話ではありません。人それぞれですから

もっと練習が必要な人もいれば

もっと早くできるようになる人もいます。

脳が柔軟に変化する様子には個人差があまりにも大きいため

全員に効果的な単一の介入法というものはあり得ません。

この認識が個別化医療の推進の源となっています。

最適な結果を得るために1人ひとりに

それぞれ違った治療が必要だというアイディアです。

このアイディアは実はがん治療に由来します。

特定のがんに対してどの化学治療を与えるか選択する際に

遺伝的な性質が非常に重要だとわかったのです。

私の研究でこれが脳卒中の回復にも

当てはまることがわかってきています。

脳の構造や機能にはある特性があります。

「バイオマーカー」と呼ぶのですが

これが非常に有用であることがわかってきました。

私たちが患者さん1人ひとりに適した特定の治療を見つけるのに

役立っています。

私の研究所のデータは神経可塑性による変化や

脳卒中の回復パターンを

最も正確に予測できるのはバイオマーカーの組み合わせだと

示唆しています。

人間の脳がいかに複雑化を考えればこれは当然のことです。

さらに私はこのコンセプトをもっと広げて検討できると考えています。

私たちの脳それぞれが持つ構造や機能の独自性を踏まえ

脳卒中後の神経可塑性の研究から学んだことは全ての人に当てはまるのです。

 

毎日の生活であなたが選択する行動には重要な意味があります。

1つ1つの行動が脳を変えているのです。

そして私たちは個別医療だけでなく個別学習についても検討すべきでしょう。

あなたの脳が唯一無二であるということは

学習する立場でも教える立場でも影響を及ぼします。

こうした視点は私たちの理解を促します。

なぜ従来型の教育環境に適合しやすい子もいれば

そうではない子もいるのか

やすやすと言語を学べる人もいれば

スポーツに秀でている人もいるのはなぜなのか

みなさんがこの後お帰りになるときには

皆さんの脳は今朝ここに来られた時と同じではないでしょう。

それは本当に素晴らしいことだと思います。

ただし皆さんはそれぞれに違う方法で脳を変化させます。

この違いつまり個々のパターンや個人差変化の仕方を理解することが

神経科学の次の偉大なる進歩を可能にするでしょう。

新しくより効果的な治療の開発が可能になり

学習者と教師とのマッチングそして

患者と治療法とのマッチングが可能になるでしょう。

 

自分にとって何をどう学ぶのが

ベストなのか研究してみてください。

脳にとって健康的な行動を繰り返しましょう。

そして脳にとって不健康な行動や習慣はやめましょう。

練習あるのみです。

学習とは脳が必要とすることを実行することです。

ですから最良の戦略は1人ひとり異なるでしょう。

というか個人個人の中でも違いが出てきます。

音楽なら非常に容易に学べるのに

スノーボードとなるとうんと難しいという場合があります。

 

今日お帰りになる際、皆さんが

ご自分の脳の素晴らしさを改めて感じてくださればと思います。

皆さん自身と皆さんの柔軟な脳は周囲の世界と共に絶えず変化しています。

 

皆さんがすることの全てそして

皆さんが遭遇すること体験することの

全てが皆さんの脳を変えているのです

良い方にも変わりますが

悪い方にも変わります。

今日からはご自分の思い通りに脳を変えていってください。

ありがとうございました。

 

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2022年5月6日の放送こちらから聞けます。→

 

 https://yumepod10.xsrv.jp/wp-content/uploads/2022/04/5-1_atarimaenosekai_20220402.mp3

 

宮古島では、今でも、公民館に集まって、

共に励まし合いながらリハビリをされているそうです。

そんな話も・・