出口戦略の不都合な真実 | スモールカンパニー 加速経営塾 原田将司

スモールカンパニー 加速経営塾 原田将司

リソースアクティベーション株式会社(経営コンサルティング会社)
株式会社ことぷろ(電子機器・システム開発会社)
両社の代表取締役。
【著書】
『スモールカンパニー 本気の経営加速ノート』
『スモールカンパニー 最速のブルー・オーシャン戦略』

99.7%の中小企業は売れない。

残念ながら、これは事実です。

 

「M&Aで事業売却できるのは、黒字企業の0.3%しかいない。」という事実に、私たちスモールカンパニーの経営者は向き合う必要があります。


 

私たちスモールカンパニーの経営者の出口問題といえば、「2025年問題」が有名です。

以前からずーっと言われてきましたが、何ら抜本策もなく、その時が近づいてきたので、少しふれておこうと思います。


簡単に言うと、2025年問題とは、後継者のいない高齢経営者が激増し、それがどんどん廃業していくので失業者が増え、GDP下がるよ、という問題です。

2025年までに、中小企業・小規模事業者の経営者うち、平均引退年齢である70歳を超える中小企業は約245万社 になります。

そのうち約半数の127万社では後継者未定であるといわれ、これは日本企業全体の1/3にも登ると言われています。すごい数です。

これがこのままでいくと、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人 の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるので問題視されているわけです。

 

そして、ここからが私たち経営者にとっての大問題です。

この後継者未定の127万社のうち約3割~5割が黒字決算で健全財務体質だと言われていますが、諸説あるので、ここでは多めに見積もって5割だとします。

 

後継者未定の黒字企業が63万5千社もあるということになりますが、M&A成約件数は年間約2000件超ともいわれてるので、これを勘案しても、黒字企業の約0.3%しか成約できていない狭き門となっているのです。

つまり、ほとんどが売れない、ということです。

しかも、この成約件数の内訳をみると、ほとんどが店舗や工場等設備を伴う不動産物件ありきの案件で、その他では、技術者を多く有するエンジニアリング系企業ばかりですので、売れ筋企業はとても偏っていて、黒字であれば誰かが買ってくれる、というものでもありません。

 

人にノウハウがついているようなサービス産業は更に難しいです。

 

つまり、端的に言えば、ほとんどのスモールカンパニーは売れない。と言えるでしょう。

煽りたいわけではありませんが、私たちスモールカンパニーの経営者の出口は、厳しい想定でいたほうがよさそうです。

事業承継には、たとえ後継者がいたとしても、最短で5年、通常10年、丁寧にみて15年超はかかります。
私が支援してきた事業承継も、計画では3年でしたが、結局、10年近くたった今でも続いています。
優秀な後継者に恵まれたとしても、時間も手間もかかります。
引き継ぎして、あとはよろしく!というわけにはいかない場合がほとんどです。

私も次の10年は、後継者探し&育成という難題に挑戦しなければならないでしょうね。

①売るか?

②潰すか?

③承継するか?


本当にこれは難題です。

 

①売るのは難しい。→事業ノウハウが人についてしまっているのでたぶん売れない。

②潰すのは嫌だ。→せっかく築いたものを潰すのは勿体無い。

③承継するしかない。→私も中小企業コンサルで成功したい!と思える魅力ある事業環境を作って有志を募るしかない。

充実した仕事でサイドFIREな暮らしを満喫する人生、いかがですか?!