2週間くらいの出張でロンドンに来ている。前半は3人で、後半は1人となった。英語は今まですっごく勉強したので、聞き漏らすことはほとんどないし、突撃大物にアポ取っても何とかやれている。コミュニケーションはもう問題ない。これぞ僕がバックパッカーを始めた19歳の頃から目指していた”自由”である。あらゆる尺度から漏れ無く詰めたので、やはり結構時間がかかった。
まあそれはスタートラインにしか過ぎないので、いかに面白いと思ってもらうか、「その通りだ」と思うことを言えるか、品格が備わっていると思われるか、また会いたいと感じてもらえるかが勝負である。これは日本にいても同じで、日本人としても国際人としても、本質的にはその人の人間性や引き出しの多さや魅力に行き着くのである。
今日は平日まったく空き時間がなかったので、2時間くらいテームズ川付近を散歩をしにいった。良く有るロンドンの気候で、終始曇り空だったがそれでも建築や教会、街の雰囲気はどれも美しい。むしろ快晴にならないでどんよりとした空の方が奥深い美しさは際立つような気がする。
やはり国土の特長や気候に則した建築物や道路が整備されるし、その街のデザインと相反しない人々のファッションが生まれるのであると感じる。その理由に、ロンドンの人々の服は極めて地味であり、黒人すら地味ファッションが多い。これはヨーロッパ全体に言えることなのだが、女性の化粧も薄い。
やはり数人に聞いてみると日本だと京都が好きだというのが最多だった。こちらでは建築の建て直しはほとんどないし、リノベーションばかりで、赤レンガの建造物が多いこと。まあ伝統に重きをおく都市同士、分かりますわなあ。
でも僕の仕事はイノベーションに関する仕事なので、この英国のスタンスというのは非常に勉強に成る。こちらで600億円の規模のファンドで、バイオ系の企業に投資しているファンドマネージャーに会ったのだが、アメリカのような瞬間風速的なフィナンシャルパフォーマンスを最大化する投資は出資者(LP)も投資家(GP)も好まないということであった。僕はこのギャンブルとしてではない、循環系としての非上場企業投資にすごく惹かれている。そうなのである。赤レンガを積むがごとく、こちらではスタートアップ企業をBricksと言ったりもする。新しく社会を担う存在として敬意を込めて呼ぶ。
「勝ち逃げる」「やり逃げて掃除は任せる」「売り逃げる」。そんなアメリカのような短期的な効率や爆発さを追求するような生態系がなぜ僕が好きになれないか、少しわかったような気がした。