最初に、この話がフィクションであるかノンフィクションであるか、読者の判断に委ねたいとおもう。
昨日、師匠に連れられて、ある霊能力者にお会いした。その方の自宅に行ったのだが、僕が住んでいるところにとても近かった。ピンク色のアパートの中にそれはあり、とても質素な生活をしていることがわかる部屋であったが、どこか非常に高貴な気が流れているのが実感できた。
当人であるご夫人に挨拶をすませて麦茶を出されて、早速こう言われた。「あなたはこの師匠の桃(宝)である」と。「機が熟したのであなたたちは出会った。あなたと、この師匠は、これから神事をすることになる。師匠は来年から世界的に更に有名になってしまうのだが、それをガードするのはあなたの仕事である」と。
そのあと、奥に通され、指名と生年月日を伝え、上から筆を下ろしてよいか、と聞かれたので、お願いします、と答えた。
するとその方は、急に僕と目も合わせなくなり、目があいたお釈迦様とも見える、とても美しい顔をした方の神子様の絵を描いたのである。その神子様の指には赤い糸が結びつけられており、額には「直」と書かれている。そして、その余白にこう書いたのだ。
「慶事 幸多き 天命 拝領 神鏡に現す 天心 不動心 心御柱 気一本」
あなたは神様に遣われたようです、と。「選民は神の御意志ではないけれど、天界は急いでいる。あなたはこれから沢山の一流の方々に会い、彼らの気を感じて観て感性を研ぎ澄ませ、最初の数年は「数」の勉強をすることになる。それはあなたの鎧兜を強くすることになります。あなたは組織に弱いけれど、小さいことも大きなことと同じと思い、勉強しなさい。心を強く不動のものにすれば、柱が立ち、根が育って、大樹となるでしょう。まるく治めてしかくで括りなさい。」
そう言われた。結果的に8枚も予言書を書いて頂き、通常そんなことはないのだと、ご主人から言われた。すべて詩になっているのである。すらすらと筆を下ろし、とても人間が考えて書いているものとは思えない。
それ以外にも、家族のこと、身体的な弱点のこと、自分の性格のこと、すべからく当てられてしまった。
なんとも不思議体験であった。最近、この手の不思議な出会いが多い。そしてまたもや、お金を払っていないのだ。
師匠は言う。10年お付き合いしているけれど、「この人は間違いなく本物の人よ」と。
結局、前回の謎の整体師と同じ事を僕は言われており、まともに考えると理解不能で、謎は深まるばかりだが、特に解明する必要もないし、ありがたくアドバイスを頂き、謙虚にやっていけばよいのだと思った次第である。
僕は思う。思いもかけず、自分が浮上したとき、「自分は違う」「自分は特別だ」と思った時点で、腐敗が始まるのだ。例えば、オウムの麻原彰晃は、常人と違い、特別な力があったのかもしれない。だから弟子もたくさんいたのだろう。でも、それにより、一人の人間としての瞬発力や等身大の感性は死滅し、人が人として生きる道から外れて、世の中に役立たなくなるのだと思う。
だから僕は思う。定期的に合コンに参加して、女の子にモテようという動物的な生存本能を発揮して、等身大の自分をキープしようと。・・大真面目にである。
以上、あと1ヶ月で29歳となる、2012年の夏の一コマである。