UFO、UMA、魔術や超能力に秘密結社と陰謀史観、さらには超古代文明に古史古伝、終末予言と、オカルトには実に様々なジャンルがあります。そして、そんな多種多様にして多彩なジャンルの中で、王道の一つとも言えるのが 《 心霊 》 かもしれません。


 かつて、まだ私たち人類が、現在では真実を伝える世界で唯一の月刊メディアとも謳われる 『 月刊ムー 』 を持たなかった時代に、世界の闇に隠された真実リアリティは、実にこの心霊というジャンルを一つの中心として展開されていたといっても過言ではありません。


 そんな時代に、世界の闇に隠された真実を、漫画という手法を駆使する事によってまだ疑う事を知らない子供たちを中心に啓蒙されていったパイオニアが、 《 つのだじろう 》 さんという漫画家であります。この方は、漫画家という世を忍ぶ仮の姿で生活の糧と発言権を確保しながら、心霊研究家としての研究成果までをも漫画という業績ペーパーとして発表する事によって、世界をイルミネイトせんとされた方でもあり、それらの研究成果の一端をまとめたものが 『 恐怖新聞 』 として広く人口に膾炙されています。


 霊界の新聞配達を生業とする、しがないながらも最凶なポルターガイストと、そんなポルターガイストが配達してくる、 1 日読むと 100 日分の寿命が奪われるという 『 恐怖新聞 』 を強制的に読まされながら、世界の闇に隠された真実についてイルミネイトされていく鬼形礼少年のバッド・エンドな成長物語、と言った形でまとめられたものが 『 恐怖新聞 』 なのですが、これが、一見すると心霊漫画のように見えなくもないながらその実、当時としては先進的で総合的なオカルト百科となっていて、私が《 地球空洞説 》 なるものの存在を初めて知ったのも、何を隠そうこの 『 恐怖新聞 』 からでありました。。


 このように 『 恐怖新聞 』 は、心霊漫画の如き装いを呈しながらも、その実はオカルトの総合百科的な啓蒙を目指して発表されたものだったわけなのですが、その一方で、オカルトの中でも、特に心霊に的を絞ってイルミネイトせんとして発表されたものが 『 うしろの百太郎 』 であります。


 『 うしろの百太郎 』 は、後心霊科学研究所を開設して心霊科学を研究する後健太郎を父に持つ中学生の後一太郎が、テレパシー能力やテレポーテーション能力を持った霊能犬・ゼロと、 《 百太郎 》 と名乗るやや外在的で特殊な主護霊スタンドの力に守られながら、様々な心霊現象に関わっていく姿を描いた漫画で、 『 恐怖新聞 』 も 『 うしろの百太郎 』 もともに 1973 年から、 『 恐怖新聞 』 は少年チャンピオン誌上で、 『 うしろの百太郎 』 は少年マガジン誌上で連載が開始され、 『 恐怖新聞 』 は 1975 年まで、『 うしろの百太郎 』 は 1976 年まで連載が続きました。単行本は 『 恐怖新聞 』 が少年チャンピオンコミックスで全 9 巻、 『 うしろの百太郎 』 が少年マガジンコミックスで全 8 巻等が出たということです ( いずれも Wiki 調べ ) 。


 それぞれに様々なメディア・ミクス展開がなされているのですが、『 うしろの百太郎 』 に関しては、 1991 年にOVAとして 『 心霊恐怖レポート うしろの百太郎 』 全 2 巻が発売され、 2004 年にそれを 1 巻にまとめてDVDが発売されたということで、それは極秘レポートとして社会の暗部に厳重に秘匿され、これまでは決して社会の表にその内容が知られる事はなかったのでありますが、近年になって、その極秘ファイルアニメがあるルートを通じて You Tube にリークされてしまいました。


 その動画が、こちら、です。



うしろの百太郎 こっくり殺人事件 1991

 暗部組織に提出された極秘レポート ( DVD ) には、 「 こっくり殺人事件 」 と 「 幽体離脱 」 という二つの作品と、「 つのだじろうの心霊解説講座 」 という特典映像が収録されていたらしいのですが、上の動画はその内の 「 こっくり殺人事件 」 の概要についてレポートしたもののようであります。


 コックリさんというのは、一般には 《 狐狗狸 》 などと表記してもいて、昭和の時代には小中学生を中心世代とした一部で流行と禁止を繰り返し、後の平成に至ってからはエンジェルさんなどと呼称を変えて何度もリバイバルした簡易招招霊法の事であります。一般的には、五十音とはい・いいえの選択肢と鳥居などを描いた紙の上に十円玉を置き、その十円玉の上に三人の参加者が各自の指を軽く置いた状態で、招霊を行うという形のものになります。


 日本における 《 狐狗狸 》 さんの歴史は、今をさかのぼること明治十七年、増田英作という人が留学先のアメリカから、「 テーブルターニング 」 だったかなんだったか、そういう感じのアメリカのゲームを日本に持ち込んだ事がきっかけだった、と言われています。


 もちろん、これには諸説ありまして、伊豆・下田にやって来たアメリカ人の船員が伝えたという話も残っているようですし、様々な説が語られはするものの、いずれにしても明治時代のこの時期にアメリカあたりから誰かが持ち込んだ、という事は確からしく、このテーブルターニングが伝わってすぐ、『 アメリカからやってきた新しいゲーム 』 として国内で大流行した記述が残っていると伝えられています。


 その当時は小さな竹を3本組み合わせて土台のような物を作って、その上に飯櫃(めしびつ)の蓋や、お盆なんかをのせ、そのお盆の上に手を乗せ、何かの質問するとお盆が動く・・・というシステムだったようです。


 しかし、あまりにも流行過ぎてしまい人々が加熱しまくったらしく、全国各地にこのゲームのルールを教える 「 伝授所 」 や専用の竹を売る店ができる一方、それらに対して警察が取り調べを行う……、などといった騒ぎになったとも伝えられています。


 欧米では、この 「 テーブルターニング 」 だけでなく、 「 ウィジャボード 」 、 「 プランセット 」 などと呼ばれる同様の遊びが明治時代よりももっと古くからあったようで、いずれも本物の降霊術とは一線を画した、あくまでも 『 遊び 』 として流行していたようです。


 このテーブルなんとかが、日本に伝わりいつのまにか狐だの狗、狸などに引っ掛けられて 「 こっくりさん 」 と呼ばれるようになったらしいのですが、その語源については、「 うなずく 」 という意味の 「 こっくり 」 が由来だという説もあれば、 「 道理を告げる 」 という意味での 「 告理 」 ( こくり ) が、スタイリッシュな響きになって 《 こっくり 》 となった、などという説が有力なようです。


 しかも、日本でこのゲームが最初に流行したのが 「 花柳界 」 なるところだったらしく、元々は芸者さんとのお座敷遊びとして流行したそうでもあります。


 警察沙汰になったという件も、実は京都だったと言われていて、京都の舞妓さんや芸者さんがこの 「 告理 」 ゲームをお座敷で大流行させ、アメリカからやってきたスタイリッシュゲーム 「 告理 」 に、芸者さんらしく 「 さん 」 をつけて 「 告理さん 」 と呼び始めた、という説もあるらしく、その当時は、 " 告理さんのお告げじゃー " などと言いながら、堕落しきった京都のコスプレ坊主たちが金に物を言わせて、うら若き舞子さんやちょいと熟った芸者さんたちの着物の裾から手をあんなところに忍ばせたりしてキャイキャイはしゃいでいたのでありましょう。


 とにかく、輸入された時は大したタイトルはついていなかったテーブルターニングが、一般に広がるにつれて、いつのまにやら 《 狐狗狸さん 》 というちょっと怖い当て字が使われるようになるとともに、そのことによって、それがあたかも日本古来から存在している妖怪とか動物霊のようなものどもと何か関係のある、怖い物へと変化していったようなのであります。


 その現象については、京都の祇園あたりで、古風な王様ゲームよろしく " コックリさんのお告げじゃ~ " などと言いながら、若いお姉ちゃんの胸をわしづかみにしたりミニ・スカートの奥に手を忍ばせたりしてキャイキャイはしゃいでいる限りは、ご勝手にすれば良いのでしょうが、小中学生などが学校でコックリさんにはまったりすると、集団ヒステリーのような状態を呈したりすることもあるようで、かなり危険な場合もあるようであります。


 霊術としてはあまり筋もよろしくなく、その危険性は上に貼らせていただいた You Tube レポートからも知る事ができるかと思います。


 よいこの皆さんは、決してコックリさんなどするの事の無いように注意いたしましょう。